君がたとえあいつの秘書でも離さない

 仕事終わりに彼のマンションへ行った。
 しばらく土日も出張で会えない。
 
 平日はあまり来たくなかったが、会いたいという気持ちに蓋をできなかった。

 駅から彼のマンションへ歩いて行く。
 真っ直ぐ見通しのいい道だが、歩道を歩く私の横を車が後ろから来てライトがまぶしい。

 マンションのエントランスに止まった。
 すると、匠さんが降りてきた。
 その後、秘書の女性も一緒に降りた。

 私は、驚いて歩みが止まった。
 先に、匠さんがエントランスに入り、彼女は車の運転手に何事か言い、車がバックしてから方向を変えてこちらに向かってきた。

 車のライトがこちらに向いた。車を後ろから見ている秘書の彼女がこちらを見ている。 
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