君がたとえあいつの秘書でも離さない
「遙。今どこ?……うん?外の音がする。帰る途中?」
「そうですね」
ピーポーピーポー♪
救急車が入ってきて、車が一旦止まっている。
「……遙。うちの近くにいるだろ?うちへ向かってる?」
「え?」
「俺、今ベランダから外見ながら電話してた。俺が聞いてる音と同じ音が電話からしてる」
「……」
鋭い。
でも、秘書の人はどうしたのかしら?
「遙。なんで黙ってる?」
「あ、あの。そうです。そちらに行こうかと思ったんですけど、秘書の方と一緒にマンション入るのが見えて、遠慮しようかと」
「帰ってきたの、見てたのか?なんで電話してこない。勝手に想像するなよ。彼女はもう帰った」