君がたとえあいつの秘書でも離さない
「本当ですか?なんか、意外です」
「そういう君こそ、良く来るのか?」
「私は今日で二回目です。ホテルのバーなんて、普段来られる身分ではないので」
「ほう。でも秘書なんだろ、君の友達。君もそうじゃないのか?」
「……そうですね。いえ、仕事の話はしない約束でしたよ」
「そうだったな。すまない」
「今日はクリスマスイブなのにお仕事とか、本当にお気の毒ですね。彼女さんは平気なんですか?」
「そうだな。彼女がいたら、今頃ここにはいないだろう」
「そういえばそうですね。え?お二人ともフリー?すごく意外」
直也さんは誘い慣れてるのにフリー?
ま、皐月も同じくらい不思議だろうけど。
「匠さんは趣味とかあるんですか?」
「ふ。お見合いか?」
「いいじゃないですか、雑談ですよ」
「そうだな。音楽が好きだな。聞くのも弾くのも好きだよ」