君がたとえあいつの秘書でも離さない
電話口から息せき切った彼の声。
「……分かりました」
そう言うと、電話を切って元の道をまた歩き出した。
彼とマンションに戻ると、すぐにケータリングのピザの案内を見せられた。
食べたいものを言うと、すぐにオーダーし出した。
先にシャワールームを借りて、さっぱりする。
その間にピザが届いたようで、部屋に入るといい匂いがした。
交代でシャワールームへ行く彼の代わりに、冷蔵庫にある残り物で簡単なスープを作る。
ベーコン、タマネギ、ニンジン、インゲンなど入れてコンソメで味付ける。
この間、私が持ってきたパセリの苗がキッチンになるので、それを少し収穫して切って入れた。
いい香り。ドライのものより、生のほうがいい。
テーブルに並べ終わった頃、彼が出てきた。
「遙、また何か作ったのか?相変わらず器用だな。嫁さんにもらえたら最高だ」