君がたとえあいつの秘書でも離さない

 電話口から息せき切った彼の声。
 
 「……分かりました」
 
 そう言うと、電話を切って元の道をまた歩き出した。

 彼とマンションに戻ると、すぐにケータリングのピザの案内を見せられた。
 食べたいものを言うと、すぐにオーダーし出した。

 先にシャワールームを借りて、さっぱりする。
 その間にピザが届いたようで、部屋に入るといい匂いがした。

 交代でシャワールームへ行く彼の代わりに、冷蔵庫にある残り物で簡単なスープを作る。
 ベーコン、タマネギ、ニンジン、インゲンなど入れてコンソメで味付ける。

 この間、私が持ってきたパセリの苗がキッチンになるので、それを少し収穫して切って入れた。
 いい香り。ドライのものより、生のほうがいい。

 テーブルに並べ終わった頃、彼が出てきた。

 「遙、また何か作ったのか?相変わらず器用だな。嫁さんにもらえたら最高だ」 
< 91 / 274 >

この作品をシェア

pagetop