君がたとえあいつの秘書でも離さない
「そうですか?こんなもので最高なんて、匠さん食生活大丈夫?」
「そうだな。大丈夫とは言いがたい。俺の健康のためにも一緒に暮らしたい。どう?」
茶目っ気のあるウインクで私を誘惑する。
「まだ、無理です。お付き合いをしていることを疑われて……」
まずい。
言わないようにしていたのに、誘導尋問に引っかかった。
彼の髪の毛を拭く手が止まり、光る目が私を射貫いた。
「やはりな。さっき、君を抱きしめたらうっすらと弘君の香水の匂いがした。前はこんなに強くなかった。何かあっただろ?だから今日来た?」
どうしてこんなに鋭いの?
私の周りにいる男性ってこんな人が多くて、本当に疲れる。
「……」
彼はすばやく服を着て、私をテーブルの前に座らせると、ワインを開けて私のグラスに入れた。