君がたとえあいつの秘書でも離さない
すごい。オーラが出てきている。
この人、こういう人だったのね。
私、仕事の彼を知らなすぎた。
私のボスも落ち着いていて、戦略家だけど、匠さんのオーラは自信からくる絶対的な何か。
副社長だから?
それだけではない気がする。
だからといって、自分の会社が負けると言われるのもいい気がしない。
私なんなんだろう。自分がよくわからない。
すると、彼の手がピザを持ち上げて私の口の前にもってくる。
「あーん」
え?笑顔に戻った彼が優しい目で私を見てる。
「早く口開けて、ほら」
しょうがいないから、おずおずと口を開けると、餌付けする親鶏のようにうれしそうな顔をしてピザを私の口に入れた。
「美味しいだろ?」
「ふぁい。おいひいれす」
口にいれたまま、話す。
プッと笑って、食べ終わる私を見て、さらにピザを私の前に持ってくる。
「早く開けて。入れたい」
何なの、この人。
口を開けて食べると、嬉しそうに私を見てる。
悔しいから、彼の口にもピザを持って行く。
あ、パカッと口が開いた。ピザを食べた。
もぐもぐしてる。可愛い。
彼の気持ちが少し分かった。
また、ピザを上げようとしたら怒られた。