君がたとえあいつの秘書でも離さない

新たな出会い

 
 久しぶりに皐月と待ち合わせて、会社の帰りに食事をした。

 その時に、お互いいろんな心配事や気になることを話した。

 「ねえ、この焼き鳥香ばしくて美味しいね。つくねはどう?」
 
 相変わらず、食べ物にうるさい。

 「皐月。直也さんといるときもそんななの?」
 
 「そうね。最近はばれてきてるかな。大分猫かぶってたことは認める」

 「ふふふ。大丈夫なの?」
 
 「大丈夫なんじゃない。そうだ、堂本との取引に迷惑かけたんじゃないかと心配してたんだけど、どうやら別な取引で補填するらしい」

 小声で皐月が言う。
 「直也さんにはめられて、お父様にお会いしたの。私を紹介したかったんだろうけど、牽制されたの。私の実家と取引しないと付き合えないような関係なら別れてやってくれとか言われちゃった。そんなことお願いしてないし、正直にお話ししたらお父様が直也さんを叱ってた。堂本社長と蓮見社長との関係もあるから、息子が勝手なことすると色々問題なんでしょうね」

 「直也さんも皐月を手に入れることで頭がいっぱいだったのかもしれないけど、原田取締役とのこともあるし、責めるのはむずかしいわね」
  
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