君がたとえあいつの秘書でも離さない
「わかってる。気をつけてはいるんだけど。普段はそういう素振り見せないで、突然変わったりするから、わからないの」
「匠さんには言ったの?」
「うん。なんか、気づいてた。恐ろしいことに」
「え?」
「抱きしめられてしまった日に会ったら、すぐに匂いでわかったって。弘取締役と高校時代から知り合いで、専務は同級生。よく知る仲らしくて」
「匠さんらしいね。直也さんは素直だけど、匠さんは策士って感じ。遙はそんな匠さんでいいの?」
「もう、彼以外は考えられないかな。趣味も合うし、いろいろと……」
皐月はこちらを見ながら笑い出した。
「遙。真っ赤になって可愛い。そうね、色々と合うならいいんじゃない?とにかく、会社同士はライバルだし、そこが問題よね」
そう。知れたら会社で立場はなくなるだろう。
でも、退社覚悟とまでは言えないけど、匠さんを取ると言う気持ちは決めてる。