恋に堕ちたら【完】
「凌先輩!好きです!付き合ってください!」
駅中、大きな声で叫ぶ。
先輩のことはたまに電車の中で見かけていた。
見るたびいつも、高齢者に席を譲っていたり、妊婦さんの荷物を持ってあげていたり、障がいのある人の乗車を手伝ってる姿を見てた。
無愛想とは有名だけど、本当に優しい人なんだってわかってた。
そして今回、私のことも助けてくれた。
「はあ?無理。」
すぐに返された返事。こんなことで懲りない!
「じゃあ、好きでいていいですか!?」
「…勝手にしろ。」
ため息混じりに、そう呟く先輩。
「はい!勝手にします!」
「…ちっ、」
大きな舌打ちをして、歩いて行ってしまった。
不器用だけど、優しい君に恋に落ちたんだ。
学校に着いてすぐ、私の友達、にいなとりらちゃんに凌先輩のことについて話す。
「はぁ?!刈谷先輩を好きになったぁ?」
教室で唖然としているのが、にいなちゃん。
姉御肌で頼り甲斐があり、運動神経抜群で、バスケ部に所属している。
小麦肌が印象的なショートカットの女の子。
「茉莉ちゃんそれはちょっと無謀すぎるよっ」
ぱっちり二重で、人形のように可愛いりらちゃん。
小柄な女の子で、お父さんがアメリカ人で、お母さんが日本人であるハーフ。
性格もふわふわしてて、天然で、モテる。
私、にいな、りらちゃん、この三人でいることが多い。
「わかってるけど好きになっちゃったんだもん!」
「もうダメだよりら。こうなったら茉莉は止められない。」
「それに!先輩に聞いたら『勝手にしろ』って、言ってくれたもん!」
「…あんたそれ、呆れられてるだけでしょ。相手にもされてないじゃん。」
にいなの鋭い言葉がささる。
確かにその通りだけど、先輩の許可はとった!!
あとはアタックあるのみだよね!