恋に堕ちたら【完】
「後輩をいじめて子供なのはどっちですかね?」
後ろから聞こえた声に振り返る。
「え、」
そこにいたのは、同じクラスの小牧紘くんだった。
クラス一の優等生。
「刈谷先輩がこれを見たらどう思いますかね?」
その手にはスマホが握られていて、液晶画面には先輩たちが私の頬を叩いている動画が映し出されていた。
まさかの小牧くんの登場に、全員言葉が出ない。
「ちょ、それは…」
イケメン優等生で有名な小牧くんは顔も広い。
きっとこの先輩たちもみんな知っていると思う。
「バラされたくなければ、今すぐここを去って、この子には二度と近づかないほうがいいですよ。」
いつも優しい笑顔で笑う彼の面影はなく、強い目で先輩たちを睨んだ。
先輩たちは私を睨んで、悔しそうに私たちの前から離れていった。