恋に堕ちたら【完】
「うん、いいんだ。」
「でも実際に頬が腫れて、暴行されたのに。」
確かに。
私は優しい子じゃないから、本当なら言いふらしたいくらい。
「いいの。」
「どうしてそんなに必死に、」
「凌先輩に、迷惑かけたくないから。こいつと関わったらめんどくさいって思われて、好きでいることさえ拒絶されたくないんだ。」
凌先輩に好きでいることを許してもらえなくなったら、終わりだから。
わざわざ自分から破滅したくない。
「…そっか」
困ったような笑顔。
困らせてしまって申し訳ない。
「だから小牧くんも言わないでほしい。」
「わかったよ。言わない。」
「ごめんね。」
保健室の先生にも、てきとーに嘘をついて手当をしてもらった。
ほっぺに貼られた、大きなガーゼは不恰好で少しおかしい。