僕のキャパシティイズオーバー

私が僕になった日

私は、今日という日が来るのを心待ちにしていた。


心臓はドクドクと高鳴って。


まだ冬の匂いが残る寒い日なのに、体は期待と興奮で熱くなって。


その重たい扉をノックして、カラカラに渇いた喉で声をあげる。


「し、失礼します…！」


「どうぞ」という小さな返事を確認して中に入るとそこは、リッチな家具で取り揃えられた学園長室。


「君か。待ってたよ」


初老の学園長が優しい笑顔でフカフカなソファからゆっくりと腰を上げた。

頭上にはこの学校を卒業した神々しい歴代アイドル達のポスターが、ずらり。

その一番端に飾られている白黒写真のイケメンアイドルが、今私の目の前にいる、学園長だ。


ここは、私立花ヶ崎学園。

アイドルとマネージャーを育成する学校。

多くの伝説的アイドルを輩出してきたこの学校には、すでに売れてるアイドルたちもたくさん在籍している。

当然マネジメント学科には『アイドルとお近づきになりたい！』というファンたちが殺到し、入試はもんのすごい倍率になる。

それを突破した猛者たちの中で、さらに首席で進級するなんて、それはもう猛者中の、猛者。

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