僕のキャパシティイズオーバー
はぁ……死ぬかと思った……

先輩の後ろを俯いて歩きながらなんとか平静を取り戻そうとするけど、なかなか顔の熱が引かずに心臓はバクバクと高鳴り続けている。

僕は√soleilの仕事を速水先輩から引き継ぐために、先輩が卒業するまでの間、こうして一緒にマネージャー業務をさせてもらっているのだけど。

毎日のように、距離感のおかしい爆イケアイドル二人に翻弄されている。

そろそろ本当に死ぬかもしれない。




少し歩いてロビーにつくと速水先輩は僕を座らせて、心配そうに僕の顔を覗きこんだ。

「遅くなってごめんな、睦。大丈夫だったか?」

「は、はい、大丈夫です……っ」

そう言いつつ涙目になってしまう僕に、速水先輩は「大丈夫じゃなさそうだな…」と僕の頭を撫でてくれる。

「あーもーほんとごめんなーあいつらあんなで……あー心配だ!可愛い睦を残して卒業なんてしたくねー!」

「速水先輩~~~っ!」

本当の妹のように可愛がってくれる優しい速水先輩と、涙ながらにひしっと抱き合う。

この一か月ほどの引継ぎ期間を終えれば速水先輩はこの学校を卒業して、海外進出するアーティストのマネージャ―につく。

そうなれば後輩のサポートがつくまで√soleilのマネージャーは、僕一人になるわけだ。

「やっていけそうか……?その、色々と」

「……!は、はい」

速水先輩は多分、男装の為の胸潰しや、男装用ガードルのことを言ってる。

「なんとかやってみます!」

「ほんとごめんな……旭の女好きと奏多の女嫌いがなければこんなことには……」

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