僕のキャパシティイズオーバー
「あー終わっちゃった!やっぱり全員は難しかったね~」

まだ興奮冷めやらぬ教室の中を、ウェッティー先生は息ひとつ乱さず教卓の方へ戻っていく。


先生、凄かった……!

僕は熱くなった頬をうちわでパタパタとあおぐ。

この一曲の間にこれだけの人数を撃ちぬくなんて!

さすがです、ウェッティー先生……!帰ったら先生のライブ映像見漁ってしまいそうです!!


「……おい」


そのとき、左側から低い声が飛んできた。


「なに赤くなってんだよ」


奏多が不機嫌に僕を睨んでいる。


「え、えっ?」


伝説のアイドルにあんなことされたら、誰だって赤くなっちゃうよ。

というかなんで怒ってるの…?

困惑する僕に構わず、奏多は僕の顎をグッと掴んで自分の方に向けさせた。


「!?」


そして超至近距離で、超イケメンな顔で言う。


「よそ見してんじゃねーよ」

「……!!」




奏多くん



ファンサが上手だね?


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