僕のキャパシティイズオーバー
曲が間奏に入り、旭が最前の女の子を指さして美人な笑顔とともにバーン!と撃った。

「「「キャー♡!!」」」

みんなの悲鳴みたいな歓声が教室に響き渡った。

撃たれたらしい女の子が崩れ落ちて、近くの子達がその子を支えてるのが見える。

旭はそれに構わず隣の女の子に近づくと、今度は耳元に顔を寄せた。

「……っ♡」

何か囁かれたらしいその女の子も、崩れ落ちる。

続いて旭はその隣の、これまた女の子の前に立ってうちわを奪い取った。

「え!?」

そして、『にゃんにゃんして』と書かれたうちわを真顔でその子に突きつける。

突きつけられた女の子は困惑しながらも「にゃんにゃん……?」と猫のポーズをする。


「ほら。君がやった方がかわいい」


そう旭が微笑むと、もれなく崩れ落ちる女の子。

叫びすぎて訳わからなくなってる子、あてられて立てなくなってる子、完全に恋に落ちてトロンとした目でひたすら旭を見つめる子……

カオスだ。

旭はこのクラスの女の子を全員崩れ落とそうとしているのかもしれない。


一方の奏多は、旭が行かない男子たちを選んで適当にやっているみたい。

それでも奏多には、目があっただけで無自覚にその人を虜にするパワーがある。

あまり表情のない奏多がじーっと見つめ合いっこしたり、うさ耳ポーズしたり、エアハグするだけでされた側とその周囲はキュンキュンしちゃって、男女関係なくみんな崩れ落ちていく。

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