僕のキャパシティイズオーバー
そして僕は、黒く重くなっていく雑巾を見つめながら頭をフル回転させる。


……え?

男装ってバレてる!?なんで!?いつから!?

あーわわわやばい、やばいやばいどうしよう、旭が知ってるってことは奏多にも……?

……いや、待った、落ち着け、落ち着くんだ佐藤睦。

いつもふざけてる旭のことだから冗談かもしれない。

うん、そうだ、その線で考えるのが一番リスクが少ない。

ここはいったんしらばっくれ──……


「むっちゃん」

「!」


旭が背中から僕の体にピタッと密着して、僕の身体を覆うようにシンクに手をついた。

僕のひょろっとした腕に旭の男らしい腕がふれて、こめかみあたりに旭の頬が寄せられる。

旭の甘い匂いが香って、心臓がドクンと跳ねた。
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