僕のキャパシティイズオーバー
やばい

なんかやばい、この空気

これ、多分、旭が本気で女の子を落としに行く時のそれ……!


「……ほら。この柔らかい肌も細い腰も……絶対女の子。こんなサラシなんか巻いちゃってさぁ」


そう言って服の上から胸のすぐ下あたりのサラシと肌の境目に指をそわせた。


「!?」


なんというか、なんというかダメだこれは…!!


「ちょ、ちょっと旭…!やめて!」

「どーせ前のマネのことがあったから速水くんに男装しろって言われたんでしょ?まったくなめられたもんだよねー。俺を誰だと思ってるのかなぁ」


そう言いながら今度は、僕の股間に手を置いた。


「!!」

「こんなものまで履かせてさー……大変でしょむっちゃん。脱がせてあげようか?」


旭は僕のシャツをたくし上げて、ウェスト周りにあるガードルの入り口に指を入れた。


「!?やっ、やめてっ、ダメ……!」


涙目で訴える僕に旭は「やーだ」と楽しそうに言うと、僕の体を反転させて自分の方に向けさせた。

そして僕を囲むようにシンクの端に手をついて、僕の逃げ場をなくす。


「っ……!」


やんわり上がった口角に、楽しくて仕方ない、という旭の本音が見える。

優しげなタレ目は、いつもより少しだけ熱を帯びてまっすぐに僕をとらえている。

その表情は、これがもしMVだったら一時停止して1億回はリピートするな、と頭の片隅で思うくらいには、かっこいい。
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