僕のキャパシティイズオーバー
…ムカつく。

ムカつくけど。

いつもの優しい旭に戻って、僕はホッと胸をなでおろした。

この感じだと、速水先輩が危惧していた『旭が僕に手を出す』…ということもなさそうだ。

だって僕、女の子としてはちょっと魅力に欠けるほうだし。

今みたいに揶揄われることはあっても、それ以上何かあるとは思えない。


ひと息ついた僕は、とりあえず片付けないと、と雑巾を絞り先ほどこぼしてしまったお茶を拭き始めた。


「むっちゃん」


また僕の背後に、旭が近すぎるほどに近寄った。


「もー、近いよ旭」


もううろたえたりしない!

ときめくことはやめられないけどっ!


「……さっき言ったこと、忘れないでよ?」

「えっ?」


さっき言ったこと…?


「欲求不満解消」

「……え!?」


そこは冗談じゃないの!?

盛大にうろたえる僕を見た旭は、また妖艶な笑みを浮かべる。


「アイドルってちやほやしてはもらえるけど、手は出せないじゃん?だからたまるんだよね~色々と」


旭が僕の頭にコツン、と自身の頭を乗せた。


「ほら俺、欲求不満担当だから」


欲求不満担当…?√solleilにそんな担当はない。何を言ってるんだこの子は?

てかマネージャーにも手を出してはいけないよ?


そして旭は、僕の顔を覗き込んで可愛い笑顔を見せた。


「大丈夫。気持ちいいことしかしないから」


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