僕のキャパシティイズオーバー
……まつげ、なっが。髪、サラッサラ。

天然でこれって。すごいなぁ。

毎日のように見ているけど、ほんと整ってる。

奏多も旭も、ビジュが良すぎるんだよなぁ。


奏多がシャーペンを走らせる音が静かな教室に響く。


……奏多と二人きりで過ごすのはいつぶりだろう。

そういえば奏多とさっきみたいな雑談したのも久しぶりだな。


ボーッと奏多を眺めて物思いに耽ってると、僕のスマホが震えた。

着信だ。


「ん?旭…?」


僕がスマホに表示された名前を読み上げると、奏多が顔をあげる。

旭は今雑誌のソロの撮影のはず。

現場で何かあったのだろうか。


「奏多。ちょっとごめん」

「……」


僕は奏多の返事を待たずにスワイプして耳にあてる。


「もしもし、旭?どうしたの?」

《あ、むっちゃん?今スタッフさんと話してたんだけどー…》


僕は奏多の邪魔にならないように教室の端に移動して、窓の外を見ながら旭の話に相槌をうつ。

どうやらお世話になってる現場のスタッフさんの中に、今度誕生日の人がいてなにかあげたいらしく、その相談をしたいみたいだ。


「え?僕の欲しいもの聞いてどうするの?……なるほど。うーん、そうだなー……」


旭に流されるように身のない話をだらだらとしていると、


「!」

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