僕のキャパシティイズオーバー
「うんうん、いいよね、√soleil。花ケ崎学園としても今一番期待してる二人だよ。……ただねー……」

学園長はギッと高そうな音を鳴らしてソファに腰かけ、一息ついてから私の顔をちら、と見る。

「……?」

なにか言いにくいことがあるのかな……?


学園長が何か言おうとしたそのとき、ノックが鳴った。


「失礼します」

「あ、速水くん!待ってたよ」

「……!」


私はドアを開けて入ってきた人物に、反射的に体を強張らせた。


「遅れてすみません、打ち合わせが長引いてしまって……」

√soleilの現マネージャー、三年生の速水(はやみ)優成(ゆうせい)先輩。

この一年で元々人気のあった√soleilをさらに世間に広めた立役者で、ファンの間でも有名な伝説的マネージャーさんだ。

速水先輩は私に気が付くと、人の良さがにじみ出る穏やかな笑みを浮かべた。


「はじめまして。√soleilマネージャーの速水です!君が首席の、汐里さん?」

「は、はい!はじめまして、汐里菜々と申します!」


速水先輩は私と握手してくれると、そのまま私の目をじっと見た。


「……汐里さんは、√soleilのファンなの?」

「はい!大ファンです!……あっ、でも、もちろん公私混同しないようにしっかりそこは線引きして、√soleilの支えになれるように頑張るつもりで……っ」

「うん、それはいいんだけどね……」

速水先輩が困ったように笑う。

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