僕のキャパシティイズオーバー
「……おにぎり?」

学園の売店で買われたらしい二つのおにぎりには、『炒飯』『スパム』と書かれている。

「とりあえず食え」

「へ」

僕の間抜けな返事に呆れた顔をした奏多は「痩せすぎなんだよ」と僕の手首を掴んだ。

「なんだよこの細すぎる手首は。なんだよその顔色の悪さは。ちゃんと食ってねーだろ。ちゃんと寝てねーだろ。仕事しすぎなんだよ、バカ」

そう言って軽くデコピンされて、僕は「アタッ」と小さくこぼす。

「奏多の言う通りだよ。俺たちの管理だけじゃなくて、自分の管理もちゃんとしないと。それでも仕事はきっちりこなしてるあたり、さすがむっちゃんだけどさ。ほら、食べて」

旭が優しい笑顔で僕の隣に座って言った。


「うん……ありがとう」


二人の優しさに胸がじーんとする。

確かに最近忙しすぎて全然寝れてないし、まともにご飯も食べられていなかった。

昨日も一時間くらいしか寝てないし、最後にご飯を食べたのがいつなのか、あまり思い出せないぐらい。


……でも、だからこそ、


「スパムと、チャーハン……」


は、重たいかなぁ……

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