僕のキャパシティイズオーバー
「絶対うまいやつ」

「…うん、そうだね」


奏多が得意げな顔をしている。養いたい。


うーん。弱ってる胃袋に地元のヤンキー総出でフルボッコしにくるぐらいの、パンチのあるチョイスだ。

どうしたものかとおにぎりと見つめ合っていると、

「奏多。やっぱりそのチョイスは無いよ。むっちゃんは疲れてるんだからさ」

旭が助け舟を出してくれる。

「こんなこともあろうかと俺も買っておいたんだ」

さすが旭!紳士の鑑……!

と、心の中で救世主を褒め称える僕の前に置かれたのは、

親の仇のように生クリームがたっぷり敷き詰められた台湾カステラ。


「疲れてる時はやっぱり甘いものだよね」


旭の甘い笑顔が添えられる。


「……ソウダヨネー」


うん。これまた僕の胃袋を獰猛なパンダが仲間を引き連れて半殺しにくるぐらいの暴力的なチョイスだ。

「二人ともありがとう。とっても嬉しいよ!あとで仕事がひと段落したら食べるね!」


見てるだけでも胃もたれしそうな食べ物たちを、僕は視界に入れないように精一杯目を細めて笑う。

それに対して二人は少し照れくさそうな顔を返した。

……今日も√soleilの二人は愛おしいです。

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