僕のキャパシティイズオーバー
バサッ!


その時、僕の身体に何かが被せられた。

救護の人が「え?」と振り返る。




「どいて」




……!




その声に、薄目を開ける。




「奏多くん…!?」



画鋲入れる系の彼女が口を押さえてキャー!!と叫んだ。



奏多…?なんで…

僕の体の上には、奏多の煌びやかなジャケットがのせられている。


「え!?かっ、奏多くんステージは…!?」

「終わった」


目がハートになった彼女にぶっきらぼうにそう返した奏多は、涼しい顔をしてはいるけど汗だくで、軽く息を切らしてる。

そして煩わしそうにボタンを二つ、三つとあけてシャツをはだけさせながら僕をまっすぐ捉えて歩いてくる。

もしかして、ステージが終わった瞬間にダッシュしてきてくれたの…?

ステージから見えてたってこと?かなり遠かったはずけど……


「え!?奏多!?」

「うそ!やばい!ッキャー!!奏多くーん♡!!」


近くにいたファンたちが悲鳴をあげ始める。

それに奏多は舌打ちをしながら僕の横に跪いて、そこにいる人たちに向けて言った。


「こいつ持病があって、楽屋に薬あるんで連れていきます」



え……?


< 66 / 70 >

この作品をシェア

pagetop