僕のキャパシティイズオーバー
「抱きしめさせてくれ」


あっ、ダメだこの耳。


「えっと、ごめん、だ、だき、?」


唾棄閉めさせて?

…あっ、惰気締めさせて?

なまけ心を引き締めさせろって?ん?


頭をフル回転させて理解しようとする僕を、なんの感情も露わにせず見下ろす奏多が改めて言い直す。



「ハグ、させて」



ドサッ。

僕は手に持っていた雑誌を落とした。



「は……ハグ…?ハグって…ハグ?ですか?」

「そう。ハグ」


そう言って目の前で手を広げるのは、MVで何度も見た顔面国宝。

突然訪れた夢シチュに、心臓がドクドクとうるさくなって、わけわかんなくなって逆に笑けてくる。


「は…はは。何を言ってるのかな、た……っ!?」


奏多がグッと近づいて僕の肩を持つ。

フワッと爽やかな香りがして、ブワッと顔が熱くなる。

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