【一気読み改訂版】とし子の悲劇

【105話】

この日、ダンナは一晩中家に帰らなかった。

あきとさんも、一晩中家に帰らなかった…

場所は、家の寝室にて…

ベッドにいるアタシは、ひとりで考え事をしていた。

アタシは…

どうして今のダンナと再婚したのか…

アタシは…

再婚相手を間違えたと思う…

そんなことを思うほど、気持ちがブルーになった。

それから数分後に、アタシは眠りについた。

日付が変わって深夜2時過ぎだった。

この時、竹宮《たけみや》が合カギを使って家に侵入した。

竹宮《たけみや》は、LEDの懐中電灯を照らしながら家の中を移動した。

そして、10分後であった。

竹宮《たけみや》はアタシが寝ている寝室に到着した。

「ヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ…とし子さんの熟《う》れた身体をいただきます…ヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ…」

竹宮《たけみや》は、ベッドの上に横たわっているアタシをしばらくの間じっと見つめながら『ヒヒヒヒヒヒヒヒ…』と嗤《わら》った。

竹宮《たけみや》は、アタシが着ていた白のブラウスのボタンをひとつずつ外したあと、無理やりひらいた。

(カシャッ…)

その後、白のブラジャーをスマホのカメラで撮影した。

つづいて、竹宮《たけみや》は白のブラジャーを無理やりちぎった。

(カシャッ…)

竹宮《たけみや》は、アタシの乳房《むね》をスマホのカメラで撮影した。

深い眠りについてるアタシは、知らないうちに竹宮《たけみや》に犯されていることに気がついてなかった。

竹宮《たけみや》は、部屋の中で変な声をあげながらアタシを犯しまくった。

アタシが竹宮《たけみや》にレイプされたことに気がついたのは、朝7時頃だった。

アタシは、この時に目覚めた。

白のブラウスとブラジャーがなくなっていた…

クリーム色のスカートがくしゃくしゃになった状態でまくりあげられていた…

白のショーツが脚の真ん中まで下ろされていた…

その上に、アタシの顔に白濁色の液体が大量に付着していた…

あわてて起き上がったアタシは、鏡を見た。

この時、アタシが眠っている間にレイプされたことを知った。

「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

アタシは、よりし烈な悲鳴をあげた。

その後、アタシは急いで浴室に向かった。

ダンナとあきとさんが帰ってくるまでにシャワーで汚れた体を洗った。

その時にあきとさんが一時的に帰宅した。

あきとさんは、必要なものを取り出したあと職場へ向かった。

ところ変わって、あきとさんが勤務している町工場にて…

あきとさんが勤務している町工場のお仕事は、大手ビールメーカーの工場で製造された製品を箱詰めする簡単なお仕事である。

あきとさんは、高校3年生の時『進学をしたい大学なしで、なりたい職種なし…』と進路書に殴り書きした後、担任《タンニン》に提出した。

そして、進路未定のまま卒業式を迎えた。

あきとさんが進路未定であることを聞いたあいつがあわてて知人にお願いした。

どうにか進路が決まったところが今の町工場である。

あきとさんのお給料は、お弁当代と保険などから差し引いて、手取り8万4000円である。

あきとさんは、ここへ来てむりがまんをため込んでいたので働く意欲が大きく低下した。

お昼休みのサイレンが工場内に鳴り響いた。

従業員さんたちは、休憩室に置かれている青いキャリーの中からお給料引きで注文したお弁当を取ったあと、空いている席に座ってお弁当を食べた。

あきとさんもお弁当箱を取ったあと空いている席に座った。

だけど、お弁当を食べなかった。

この時、社長さんがうな重を持って休憩室にやって来た。

社長さんは、あきとさんが座っている席のとなりの席に座った後、優しく声をかけた。

「あきとさん…」
「何や!?何しに来た!!」

あきとさんが怒った声で言うたので、社長さんは困った声あきとさんに言うた。

「あきとさん、元気がないのか…それじゃあ、私と一緒にお昼ごはんを食べようか。」
「なんであんたと一緒にお昼ごはんを食べるのだよ!!ひとりにしてくれ!!」
「あきとさん、私はあきとさんと一緒にお昼ごはんを食べたいのだよぉ。」
「しつこいクソジジイクだな!!クソジジイはオレになにを求めているのだよ!?」
「私は、あきとさんの人生設計を話し合いたいのだよ…」
「そんな話をしてどうするつもりだよ!!」
「あきとさんは、17年間うちの工場で箱の折りたたみの仕事だけで通してきたから、ごほうびを与えてあげようと思っているのだよ…私は、あきとさんのおとーさんから頼まれているのだよ…わたしはあきとさんにごほうびを与えてあげたいのだよ。」

その後、社長さんはうな重のフタをあけた。

社長さんは、大きな口を開けてうな重を食べながらあきとさんに言うた。

「あきとさん、お弁当を食べようよ…ごちそうだと思って食べればおいしいんだよ。」
「ふざけるなよ…キサマは従業員さんたちにひやめしを押しつけて、ヌクヌクとうな重かよ!!」
「そんなこと言わないでお弁当を食べよう…ひやめしだと思っているからおいしくないのだよ…」
「キサマはバカか!?」
「あきとさん、どうして私のことをバカ呼ばわりするのだね!!」
「うるせーなオンボロ経営者!!」
「私のどこがオンボロだ!?」
「オンボロをオンボロと言うてワリーかよ!!ここへ就職した時に、あんたは通勤手当てを出すと言うたよね…なのに、びた一文も出さなかった…オドレは人をグロウしとんか!!」
「グロウしてないよ…あの時は、お仕事をいただいた会社の売り上げが落ち込んでいたから…」
「親会社のせいにするなよクソジジイ!!」
「あのね、私ども経営者も苦しいのだよ…うちの会社を開業するときに家内の実家のお父さまに頭を下げて、開業資金を出してくださいとお願いしたのだよ…」
「そういうこすいことしたから、工場がかたむくのだよ!!」
「こすいことはしていないよぉ〜」
「ふざけるな!!虫ケラ!!ミミズ!!ひとさまの家からカネを借り入れること自体がこすいのだよ!!」
「それじゃあ、どうすればよかったのだよ!!信金にユウシの申し込んだけど、断られたのだぞ!!」
「それはキサマの性格が悪いから断られたのだよ!!」
「だから、貸し渋りだよ!!」
「貸し渋りのせいにするなよイシゴカイ!!」
「だから、家内の実家におカネを返すことと従業員さんたちのお給料を守るだけでヒーコラ言うているのだよ!!」
「見苦しいいいわけを言うなよヒョウモンダコ!!」

思い切りブチ切れたあきとさんは、社長さんをボロクソになじったあとお弁当の中身をゴミ箱に棄《す》てた。

「あきとさん!!すぐにお弁当を拾いなさい!!」
「ふざけるなよゲジゲジ!!オンボロ経営者!!あんたらは、従業員さんたちのお給料をオウリョウして悪いことばかりしていたからテンバツだ!!豪勢な料理を食べてばかりいた…オドレの息子のヘージツゴルフや娘のオシャレによおけ(たくさん)カネ使った…従業員さんたちのお給料を喰い物にしたことを反省しろ!!ムシケラ!!ミミズ!!イシゴカイ!!オキアミ!!ゲジゲジ!!そしてミズムシタムシ!!インキンタムシ!!」

社長さんをボロクソに怒鳴りつけたあきとさんは、社長さんが食べるうな重にツバを思い切りかけた。

その後、社長さんに背を向けて立ち去った。

しばらくして、休憩室内にいた従業員さんたちが社長さんに対して小突くなどしていじりまわした。

近い将来、工場が転覆する事件が発生する危機がすぐそこに迫っていた。
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