【一気読み改訂版】とし子の悲劇

【第111話】

８月３日の日中のことであった。

アタシは、空いている時間を利用してＪＲ函館本線《はこだてせん》の電車に乗って小樽へ行った。

ＪＲ小樽駅で各駅停車の電車を降りたアタシは、歩いて小樽運河へ向かった。

赤いレンガの倉庫が建ち並ぶ運河の近くにある公園にて…

ベンチに座っているアタシは、ぼんやりと考え事をしていた。

アタシは…

どうして９度も離婚と再婚を繰り返したのか…

アタシは…

結婚以外に生きて行く方法があったのに…

………

考えれば考えるほど、気持ちがむなしくなった。

小樽運河を出たあと、アタシは歩いて埠頭《みなと》へ向かった。

ところ変わって、新日本海フェリーの乗り場の近くにある広場にて…

広場に着いたアタシは、ひとりぼっちで海をながめながら考え事をした。

アタシは、高知を出た敦賀で暮らしている中学の時の先輩の家に一時滞在した。

それから２週間後に、先輩から新日本海フェリーのチケットを受け取ったあと旅に出た。

小樽に着いたのは、何日か後であった、

その後、小樽駅から電車を乗り継いで苫小牧へやって来た。

そして、札幌《きたのみやこ》で暮らしているあいつと再婚した。

アタシは…

幸せを探して北に来たのに…

大失敗したわ…

アタシは、キムヨンジャさんの歌で『北の雪虫』を震える声で歌いながら海を見つめた。

夕方６時半頃であった。

アタシは、北７条にあるマンスリーマンションに帰宅した。

アタシは赤茶色のバッグをテーブルの上に置いた後、ボブソンのジーンズを脱いでからざぶとんに座った。

ざぶとんの上に座ったアタシは、レモン色のＴシャツを脱いで、大きくため息をついた。

衣服の下は、サックスブルーのブラジャー・ショーツのセットを着けていた。

赤茶色のバッグの中からスマホを取り出したアタシは、ラインのアプリを開いてメッセージを見た。

苫小牧にいる友人からのメッセージがあったので、アタシはメッセージを返信した。

メッセージを返信したアタシは、アプリを閉じてバッグの中にスマホをしまおうとした。

そこへ、スマホにわけのわからない英文字と数字が並んでいたメアドでメールが届いた。

イヤな予感がするわ…

なんなのよ…

アタシは、早速メールを開いた。

そしたら…

かつて豊平区内で暮らしていた時に、隠し撮りの被害を受けた奥さま方の着替えシーンとシャワーシーンと赤ちゃんに母乳《おちち》を与えているシーンなどの動画が映っていた。

アタシは、恐怖で体が震えた。

イヤ…

やめて…

やめて…

お願い…

恐ろしくなったアタシは、思わず叫び声をあげた。

「イヤァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!イヤァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」