【一気読み改訂版】とし子の悲劇

【第118話】

それから７日後のことであった。

敦賀で暮らしている友人の妹さん夫婦があいつの家にやって来た。

食卓には、あいつと義弟《おとうと》と義父と妹夫婦がいた。

この時、アタシはすでに家出したので食卓にはいなかった。

妹夫婦は、そのことにまだ気がついていなかった。

妹夫婦は、アタシとあいつがうまく行かないことを心配していた。

家族が仲良くなれるようにと思って高級の松阪牛の霜降りを持って来た。

テーブルの上には、妹さんが作ったすき焼きが置かれていた。

すき焼きができたので、みんなで食べることにした。

その前に、義弟《おとうと》に一口食べていただいておいしくできているかどうかを確かめることにした。

しかし、ダンナが急に怒った。

妹さんは『かずひこさんにおいしくできているかどうかを確かめたいのよ…』と泣きそうな声で言うた。

その後、義弟《おとうと》に食べてみてと言うた。

義弟が肉をひと切れ取った時であった。

あいつは、グーで義弟《おとうと》のこめかみを思い切り殴った。

「かずひこ!!」
「兄さん…」
「かずひこ!!オドレはいつからとし子のカレシになったのだ!?」
「違うよ…」
「かずひこ!!」
「きよひこさんやめて!!」
「だまれ!!こんなもんいらんわ!!」

（ガラガラ…ガシャーン!!)

せっかく作った食卓は、あいつが粉々なに壊した。

その後、義父と義弟《おとうと》とムコを手当たり次第にあったもので攻撃した。

そしてあいつは、義父に対して殴るけるの暴行を加えた。

それから40分後であった。

鎌倉市内《しない》に消防団の詰所のハンショウの音と救急車と救助工作車のけたたましいサイレンが響き渡った。

あいつらは、救急車で鎌倉市内《しない》にある救急病院に搬送された。

義弟《おとうと》は、外科でケガの手当てを受けた。

この時、頭から髄液がもれていたと診断された。

あいつは、カギのかかる部屋に閉じ込められたあと、五重ロックをかけた。

「出せ!!オレはあのインラン女から被害を受けたのだぞ!!ここから出せ!!」

さて、その頃であった。

場所は、診察室の入り口の前にて…

診察室の前にあるイスに、義父とアタシの知人の妹さん夫婦が座っていた。

そんな時であった。

静岡に嫁いでいたあいつの３番目の姉《おねえ》がダンナと33歳の娘を連れてとつぜん帰って来た。

姉《おねえ》は『おとーさん!!話があるのだけど!?』と怒鳴ったあと、あいつらを凄んだ。

「何だよ一体…今はお話ができないのだよ…」
「うるさいわね!!それよりも、きよひこがまた暴れたみたいね!!」
「分かっているよ…きよひこは落ち着いたらケーサツにつれて行く…」
「今すぐにきよひこを警察署につれて行きなさいよ!!」
「まあまあまあ、落ち着いてください。」

アタシの友人の妹さんのムコが義姉《おねえ》に落ち着いてほしいとなだめたが、３番目の姉はますます怒り狂った。

「のんびりとお話ができる状態じゃないのよ!!今回の事件の一因は全部おとーさんにあるのよ!!娘のお見合いがやっと終わって、あとは返事が来るのを待っているのよ!!…娘は今までに200回お見合いしたのよ…200回お見合いをしたのに、全部断られているのよ…３日前にお見合いをしたばかりよ…明日、先方さんから返事が来るのよ!!」
「お母さん、やめて!!」
「やめないわよ!!お母さんは、あなたの幸せを守るために必死になっているのよ!!おじさまがまたお嫁さんにきつい暴力をふるって問題を起こした…おとーさん!!娘のお見合いが破綻したらその時は、全部おとーさんが悪いのよ!!」
「やめろ!!」
「あなたは入ってこないで!!」

姉《おねえ》は、なおも怒り狂っていた。

アタシの友人の妹さん夫婦は、もうだめと言うて投げた。

その一方で、あいつの家から飛び出したアタシはガマンの限度を大きく超えた。

あいつと義父と義弟《おとうと》とあいつの親類縁者全員を血の池地獄へ墜《お》として焼き殺してやる!!

アタシは、あいつらの家の親類縁者全員に対するうらみを絶対にはらすと硬《かた》く訣意《けつい》した。