【一気読み改訂版】とし子の悲劇

【第26話】

事件は、それから２日後に発生した。

食卓に、義父母とあいつと義弟《おとうと》とあいつの嫁の４人がいた。

４人は、あいつの嫁が作った朝ごはんを食べていた。

義弟《おとうと》がごはんをひとくちも食べていなかった。

義父は、義弟《おとうと》に優しく声をかけた。

「どうしたのだひろかず…ごはん食べれないのか？」

義弟《おとうと》は、ひとことも言わなかった。

義父は、義弟《おとうと》にきのう与えられた金一封のことを言うた。

「どうしたのだ？きのう会社からごほうびで金一封をいただいたんじゃないのか？」
「断った!!」
「どうして断ったの？」
「いらねーから断った!!」

義父は、ものすごく困った声で義弟《おとうと》に言うた。

「どうして断ったのだよ…金一封には給料３ヶ月が入っていたのだよ…入江さんが心配してうちに持ってきて下さったのだよ…もしかしたら…使い道がないのなら困っていたのかなぁ〜…」

義母は、やさしい声で義弟《おとうと》に言うた。

「そうだ…おかあさん、今日銀行に行って金一封に入っていたおカネを貯金しに行くから…それでいいでしょ？」
「貯金すればいいよ…必要な時に使えばいいよ…」

この時であった。

端で話を聞いてたあいつの嫁の表情がまっ青になった。

どうしよう…

友人からおカネを取り返さないと…

大ゴトになる…

あいつの嫁は、友人からおカネを取り返すために家から飛び出した。

この時、友人が男にカネをみついでいたことがあからさまになったので、問題がさらに複雑になった。

ところ変わって、ことでん片原町駅の裏の露地にて…

あいつの嫁が友人との待ち合わせ場所に着いた時であった。

このとき、友人と男がひどく揉めていた。

問題の男は、桂一郎さんだった。

「お願い!!今すぐにおカネを返してよ!!」
「何だよぉ…お前がカネをあげると言うておいて今さら返せとはどういうことだよぉ？」
「あのね!!アタシの友人がものすごく困っているのよ!!おカネがないと困るのはアタシよ!!」
「だから、何に困ると言うのだよぉ？オレには分からないよ…」
「あんたね!!アタシがものすごく困っているときによくヘーゼンとしていられるわね!!それじゃあ借りたおカネは返せないと言うのね!!」
「返すよぉ…だけど、昨日知人に誘われて競艇場《フネ》に行った…そのときに、スッテンテンになったんだよ…」
「キーッ!!もう怒ったわよ!!ジブンのお店を持ちたいからおカネがいると言うておいて、ギャンブルにつぎ込むなんてドサイテーね!!」

桂一郎さんは事の次第をまるくおさめるために、カノジョのキゲンをとろうとした。

「なあ、頼むよ。」
「何よ!?甘ったれるな!!」
「この通りだよ…カネをユウヅウしてくれよ…10万円、いや５万円でもいいからさあ…」
「あんたね!!まともに働いてお給料を稼ぐことを知らないのね!!人からカネをセビって生きることしか知らないあんたはミミズ以下の虫けらよ!!」
「なんやオドレ!!」

桂一郎さんとカノジョは、ひどい大ゲンカを起こしたあと露地から立ち去った。

それを聞いてたあいつの嫁は、ものすごく困り果てた。

その日の夜のことであった。

あいつの嫁は、シースルーのネグリジェ姿で眠っていた。

この時、寝室に義弟《おとうと》が侵入してきた。

「うーん…何よぉ…」

あいつの嫁が目をさました時であった。

義弟《おとうと》が、刃渡りのするどいギザギザがついたサバイバルナイフであいつの嫁を脅した。

「何するのよ!?やめて!!ング…」
「フザケルな!!」

それから二時間後であった。

あいつの嫁が義弟《おとうと》からシツヨウに犯されたあと刃渡りのするどいナイフでズタズタに刺されて殺された。

義弟《おとうと》は、より激しい怒りを込めてあいつの嫁を殺したあと、遺体を切り裂いて損傷させた。

しかし、遺体の処分に困ったのでオタオタオタオタとさわいだ。

それを聞いた義父母が『わしらが助けてあげるから…』と言うて、亡くなったあいつの嫁の遺体を家から運び出した。

その後、あいつの嫁の遺体は山奥の方へうめられた。