【一気読み改訂版】とし子の悲劇

【第30話】

高松市円座町の家で発生した殺人事件で、桂一郎さんはアタシを犯したクソッタレ義父を殺した容疑でケーサツに逮捕された。

さらに、2014年夏に愛媛県で発生した2件のレイプ殺人事件と1件の殺人事件についても桂一郎さんはケーサツに供述した。

桂一郎さんは、殺人の容疑で再逮捕された。

桂一郎さんは、今後香川と愛媛の二つの県警の捜査1課による合同の取り調べで、きびしく追及されることになった。

話は変わって…

円座町《えんざ》の家で被害を受けたアタシは、警察署の生活安全課に保護された。

その後、実家の両親に迎えに来ていただいた後、そのまま実家へ帰った。

実家に帰ったアタシは、3ヶ月の間は部屋で静かに暮らしていた。

しかし、クソッタレ義父にレイプされたことが原因で妊娠していたことが明らかになった。

それを聞いた両親がものすごくあわてた様子でお見合いを入れた。

2016年12月25日頃であった。

アタシは、両親のすすめで徳島県の美波町《みなみ》で暮らしている父親の知人の紹介で鈴原さんの家のひとり息子さんで徳島県議会議員さんの真佐浩《まさひろ》さん(51歳)と再婚した。

今回もまた、婚姻届は出さなかった。

この時、アタシは39歳だった。

真佐浩《まさひろ》さんの家は、美波町日和佐《ちょうないひわさ》の恵比須ヶ浜《えびすがはま》にある高台の一等地にあった。

家は、3階建ての白亜の豪邸であった。

ひとつ屋根の下で真佐浩《まさひろ》さんとアタシと真佐浩《まさひろ》さんの前のお嫁さんの娘さんのちづるさん(18歳・以降呼びすてで表記)と真佐浩《まさひろ》さんの両親が暮らしていた。

最初のうちは、何ごともなく幸せに暮らしていた。

しかし、2017年6月に徳島県議会《けんぎかい》で男性議員がヤジを発した問題が報じられた時から家庭内がおかしくなった。

2017年6月1日のことであった。

この時、アタシは出産を控えていた。

体を大切にしなければならない時に、いらないもめごとに巻き込まれた。

事件は、徳島県議会《けんぎかい》の一般質問の時に発生した。

この時、34歳の野党の女性議員さんが議長に質問をしていた。

その時に、政府与党の男性議員が突然ヤジを飛ばした。

ヤジを飛ばされた女性議員さんは、ものすごく悲しい表情で議場から出ていった。

議会が終了してから数時間後のことであった。

県庁を出た真佐浩《まさひろ》さんは、車に乗って日和佐の家へ帰宅する途中であった。

この時、数人の報道機関の記者に取り囲まれた。

「徳島新聞の県政担当のAですが…」
「四国放送の県政担当のBですが…」

真佐浩《まさひろ》さんは、議会中に女性議員さんに対するヤジの問題で真佐浩《まさひろ》さんがヤジを飛ばしたのではないか…と報道機関の記者から問い詰められた。

けれど、真佐浩《まさひろ》さんは平然とした表情で車に乗ったあと、取材攻勢をふりきって帰宅した。

しかし、次の日…

徳島県議会《けんぎかい》で女性議員さんに『早く結婚しろ!!』とヤジを飛ばした議員は美波町選出の議員ではないかと言うニュースが朝の全国ネットのニュースで報じられた。

美波町《じもと》からは、真佐浩《まさひろ》さんを含めて3人の議員《ぎいん》さんがいた。

2人の男性議員さんは、議長からの問いに対して『ヤジを飛ばしていない!!』『私はヤジを飛ばすようなことはしていない!!』と否定した。

6月9日のことであった。

県議会《ぎかい》で女性議員さんにヤジを飛ばしたのは、あいつ(以後、あいつと表記する)であったことが判明した。

あいつは、女性議員さんに対して謝罪せずに激しく抵抗していた。

あいつは、別々に暮らしているおじいやんから『事態を収束《しゅうそく》させるために早めに謝罪をしなさい!!』と厳しく言われたことに対してはぶてて(ひねくれて)いた。

あいつのじいやんは、美波町内《ちょうない》の別の場所で暮らしていた。

あいつのじいやんは、元徳島県議会の議長など議員さんを7期勤めた後、地元出身の政府与党の政党の徳島県連の推薦を受けて参議院議員を二期12年、厚生労働省の副大臣を歴任して、男女平等や共同参画社会を提言しまして国・徳島県《じもと》のためにせっせと働いてきた人(どこがよ…上級国民《ジョーキュー》!!)…と思う…

バカ孫が県議会《ぎかい》で女性議員さんに対するヤジを飛ばしたことについて、おじいやんは思い切り怒っていた。

夕食時であった。

食卓には、アタシとあいつとあいつの両親(以降は義父母と表記)がいた。

アタシは流しにいて、ガステーブルでみそしるを温めていた。

テーブルの上には、お肉料理や野菜サラダなどのごちそう(…ではなく、となりの家のお残りで、エサ同然である)がならんでいた。

自分が悪いことしといてはぶてまくっているあいつに対して、義父は過度に優しく言うた。

「真佐浩《まさひろ》、おじいさまは真佐浩《まさひろ》が徳島県《けん》のためにこれからも働いてほしいから厳しく言うただけだよ…先週の県議会《ぎかい》でヤジを飛ばしたことについては、きちんと謝罪をして、次からは同じ失敗をしなければいいんだよ。」
「ふざけるなよ!!あやまったら許してくれると思っているのかよ!!」
「おとーさんは仕事で失敗しても仕事で名誉を回復できたのだよ…徳島県《けんみん》のためにせっせと働けば許してもらえんだよ…また1からやり直せばいいじゃないか。」
「真佐浩《まさひろ》、お父さんは真佐浩《まさひろ》に議員《ぎいん》さんを続けてほしいから言うてるのよ…せっかくとしこさんが真佐浩《まさひろ》のために大好きなお肉の料理を作ってくださったのよ(ウソ言うな!!)…ごはん食べて明日からはまた元気にがんばりなさい。」

義母は、あいつに対して過度にやさしい声で言うたあと、白いお皿の上にお肉とサラダのお野菜を盛り付けた。

アタシは、温まったみそしるを食卓に持ってきた。

この時、あいつが右足でアタシをけとばした。

(ドカッ!!バシャッ!!)

みそしるが入っていた鍋がアタシの手から離れた後、床に落ちた。

鍋の中身が床に広まった。

「としこ!!」

あいつにけられて倒れたアタシは、右足で思い切り頭を踏まれた。

「としこ!!オドレはいつからオヤジとオフクロにコビヘツらうようになった!!オレをよくもグロウしたな!!」
「何すんのよ!!やめて!!」
「としこ!!」
「真佐浩《まさひろ》!!としこさんが何したと言うのよ!?としこさんは真佐浩《まさひろ》が元気になれるようにと思ってごはんを作って下さったのよ!!」
「だまれ!!」

(ガツーン!!ガツーン!!ガツーン!!)

あいつは、義母の顔をグーで思い切り殴ったあと、より強烈な声でイカクした。

「オドレ殺したろか!!としこにばかりエコヒイキしやがって!!オドレオヤジ!!ぶっ殺すぞ!!」
「何を言うているのだ!!オドレが勤めていた会社をやめたあと、わしが紹介した事業所もやめた…その時におじいさまがあちらこちらを歩き回って、お前を議員《ぎいん》さんにしてあげたいと思って働きかけたのだぞ!!誰のおかげでプータローにならずにすんだと思っているのだ!?豪邸《このいえ》を建てることができたのは誰のおかげだ!?」

あいつは、ワーッとさけびながら食卓をひっくり返した。

その後、部屋に置かれていたゴルフクラブのウッドを手に取った。

そしてあいつは、義父を右足で思い切りけとばして倒した。

あいつは、倒れた義父をウッドで思い切り殴り付けた。

「死ねや!!死ねや!!」

義父は、抵抗することなく殴られぱなしになっていた。

「フザケルな!!オレは議員《ぎいん》にはなりたくなかった!!オレはあんたの言いなりになって議員《ぎいん》になった!!許せない!!」
「お前はおじーさまの気持ちが分からないのか!?選挙活動《せんきょ》の時にお世話になった町民のみなさまの気持ちが分からないのか…おとーさんとおかーさんは…何のためにお前を50年間育ててきたと思っているのだ!!」

思い切りブチ切れたあいつは、家中を暴れまわった。

アタシは、あいつをするどい目つきでにらみながらブベツした。

その間に、あいつは女性議員さんに対して謝罪する機会をズルズルと先伸ばしにした。

政府与党の政党の徳島県連の数人の男性幹部が家にやって来て、女性議員さんに対して謝罪するようにと働きかけた。

しかし、あいつはダンゴ拒否した。

2017年7月10日の昼過ぎであった。

県議会《ぎかい》で女性議員さんにヤジを飛ばした事件から1ヶ月が経過したが、あいつはとうとう謝罪しなかった。

政府与党の政党の徳島県連の男性幹部たちは、毎日のように家に来て説得をしていた。

しかし、あいつは激しく抵抗した。

そのまた上に、深刻な事件が発生した。

ちづるがあいつに対して発した言葉が原因で、より大きな衝撃《インパクト》が走った。

「おとーさん…アタシ…無期限で高校を休学するから…卒業はしないから…単位不足でリューネンをするくらいなら、無期限休学する…アタシね…デキちゃった…」

ちづるが3つ年上の塗装工のチャラいカレシを連れてきた。

それが原因で、さらに激しい衝撃《インパクト》が走った。

ちづるは『カレとここで暮らすから…今日役場に婚姻届を出したから…』とも言うた。

それを聞いたあいつは、立ち直れなくなった。

それから3日後であった。

ちづるは、家族の猛反対を押しきって3つ年上の塗装工のカレシと新婚生活を始めた。

それを聞いたあいつは、アタシに対して思い切り怒鳴りつけた。

この時、アタシもドカーンとブチ切れたので、あいつと大ゲンカを起こした。

「あんたね!!いつまで謝罪する機会をズルズルと先伸ばしにするのよ!?あんたは議員《ぎいん》さんとして恥ずかしくないの!?どうするのよ!!あんたもしかして…議員辞職《じしょく》するつもりなの!?」
「ふざけるなよ!!そういうとしこにも原因があるんだよ!!」
「キーッ!!何なのよあんたは!?上級国民《ジョーキュー》になれたからと言うてえらそうにするな!!」
「だまれ!!」

(ガツーン!!ガツーン!!)

アタシは、あいつにグーで思い切り顔を殴られたので、右のほほに血がにじみ出た。

アタシは、にらんだ目つきであいつをにらみつけた。

あいつはアタシに『何やその目は!?淡白目《たんぱくがん》でオレを見るのか!?』と言うたので、アタシはより強烈な暴言をはいた。

「フザケルな!!でかい顔をするんじゃないわよ!!弱虫!!」
「何だと!!」

あいつは、アタシが言うた言葉を聞いて思い切りキレた。

そして、再びドカバキの大ゲンカを起こした。

その末に、4度目の結婚生活も破綻した。

アタシは次の朝、着替えとメイク道具をぎっしりと詰めたボストンバックと赤茶色のバッグを持って家出した。

胎内にいた赤ちゃんは、あいつから受けた暴力が原因で胎盤ハクリを起こして流産した。

あいつは県議会の議員さんを続けることができなくなった。

ちづるとカレシは、そんなギスギスした中で新婚生活を始めたので、家庭内の人間関係に亀裂が生じた。
< 30 / 135 >

この作品をシェア

pagetop