【一気読み改訂版】とし子の悲劇

【第41話】

2018年7月25日の昼過ぎであった。

この日、ラジオのニュースで四国地方は梅雨明けの以降最もむし暑い日天気になると伝えられた。

アタシは、昼は三条町のガソリンスタンド(ソラト)で、夜は高松中央インターの近くのファミマ…とかけもちでバイトしていた。

ダンナは代休だったけど、担当していた男性患者の容態が急変したので、昨夜から帰宅していなかった。

ゆうさくさんは、取引上のトラブルが生じたので急きょ徳島へ出張に行った。

けいさくさんは、昨夜から遠方へ出かけたまま帰宅していなかった。

この日、ほのかさんは長女を連れて坂出市福江町の実家に一時帰省した。

ほのかさんのおじさまが、前日交通事故で亡くなった。

ほのかさんは、翌日の葬儀の準備のお手伝いをしていた。

事件は、深夜11時過ぎに発生した。

ほのかさんは、赤ちゃんを連れて高松市香西北町の県道沿いにあるガソリンスタンドに行った。

ガソリンスタンドでは、弟さん(19歳)がアルバイトをしていた。

ほのかさんは弟さんを車に乗せた後、実家に向けて出発した。

ほのかさんが運転しているスズキカルダスは、植松町の旧有料道路の入り口から坂出方面に向かって走った。

その時であった。

(グオーングオーン!!バリバリバリ!!)

突然、金ぴかのマツダRX7の改造車が爆音《ばくおん》をあげながら走ってきた。

事件は、五色台《ごしきだい》トンネルの中で発生した。

(キキキキ!!ドーン!!)

トンネルの壁面《へきめん》に衝突《しょうとつ》したのは、改造車であった。

ほのかさんが運転しているスズキカルダスは、危険をさけるために改造車をよけた。

改造車は、ハンドル操作をあやまったことが原因で壁面《へきめん》に衝突《しょうとつ》した。

この時、衝突《しょうとつ》した改造車から派手な金髪でジャラジャラのアクセサリーをつけたかっこうの男二人が降りたあと、両手を広げてカルダスを止めた。

「止まれや!!何や!!(ほのかさんの弟さん)か!!オドレよくもこの間はオレたちにケンカふっかけたな!!」
「知らないよ!!」

降り悪く、男二人はほのかさんの弟さんが中学時代に不良グループにいた時に対立していた別の中学の不良グループの元ヤンキーだった。

彼らは、ほのかさんの弟さんを激しくうらんでいた。

ほのかさんの弟さんは、男ふたりからきつい暴力を受けた後にぐったりした。

その後、彼らはほのかさんが運転していたスズキカルダスに乗り込んで、ほのかさんと赤ちゃんを車ごと連れ去った。

「イヤ!!助けて!!助けて!!」

トンネルの中に、壁面に衝突した改造車が置き去りにされた上に、ほのかさんの弟さんが倒れていた。

ところ変わって、坂出市玉越町乃生《さかいでたまこしちょうのう》の玉越山《たまこしやま》の雑木林にて…

ほのかさんは、男二人に雑木林に引きずり込まれた。

そして、その場に倒されて身体を押さえつけられた。

「やめて!!何するのよ!!赤ちゃんがいるのよ…やめて!!」

(ビリビリビリ…)

彼らは、泣き叫んでいるほのかさんのピンク色のカーディガンを下に着ている白のブラウスごと思い切り破いた。

「助けて!!ゆうさくさーん!!ゆうさくさーん!!」

ほのかさんは彼らに犯されたあと、ボロボロに傷ついて恥ずかしい姿で置き去りにされた。

ところ変わって、高松市多肥上町《たかまつたひかみちょう》にある済生会病院の救急搬送口にて…

坂出市の消防本部の救急車が香川県警《けんけい》のパトカー2台と共に救急搬送口に到着した。

救急搬送口では、救急救命士と医師があわただしく動いていた。

「30代後半の女性、脳挫傷で危険な状態です!!」
「赤ちゃんはどうなってるのだ!?」
「車内に長時間放置されたので、脱水状態を起こしています!!」
「母子ともに、きわめて危険な状態です!!」
「母親の緊急オペの準備はできているか!?」
「それが…脳外科の執刀医のA先生が疲れているから寝かせてくれとわがままをこねています!!」
「なんやと!!オイ!!(A先生)のクソッタレバカを殴り付けて起こしてこい!!」

この時であった。

昨夜から泊りがけでいたしゅうさくさんが緊急搬送口の近くにいた。

しゅうさくさんは、一体何が起こったのかとひどく心配になった。

まさか…

ゆうさくの妻子が何らかの事件に巻き込まれたのではないのか…

しゅうさくさんは、ひどく動揺した。
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