【一気読み改訂版】とし子の悲劇
【第53話】
2018年8月26日のことであった。
アタシは、赤茶色のバッグを持って三木町池戸《みきちょういけのべ》にある医大病院へ行った。
8月10日の夜、まんのう公園の近くの雑木林でカップルが襲撃された事件で、ボロボロに傷ついた女子大生が入院していたので、お見舞いに来た。
病院の敷地内の木々から、つくつくぼうしがひっきりなしに鳴いてた。
アタシは、病院の総合受け付けで女子大生が入院をしている部屋を聞いた。
しかし、面会謝絶《だれともあいたくない》状態なのでダメだと受付の人から言われた。
女子大生《カノジョ》は、1日中ぼんやりとした表情で窓の風景を見つめていた…
どうして…
男たちは…
カノジョを…
立ち直れなくなるまで…
ボロボロに傷つけたのよ…
許さない!!
その日の午後2時過ぎであった。
アタシは、まんのう公園の近くの雑木林の入り口にやって来た。
この時、60代後半のシツジの男性が大きめの花束と和菓子をお供えして、静かに手を合わせていた。
アタシは、シツジの男性に声をかけた。
「あの…すみません…」
「何でおますか?」
「8月10日に発生した殺人事件で亡くなられた男性にお供えをしていたのですか?」
「そうでおます…うちの屋敷のお坊っちゃまが亡くなったのです。」
「お屋敷…あなたは、シツジさん?」
「へえ…そうでおます…おたくはどちらさまでおますか?」
「アタシは、亡くなった女子大生のコと一緒にバイトしていた友人です…あなたは…大阪からお越しになられたのですか?」
「そうでおます…ここで立ち話もなんやさかいに、公園へ行きまひょか?」
アタシは、シツジさんと一緒にまんのう公園の展望台へ一緒に行った。
ところ変わって、まんのう公園の展望台にて…
アタシは、シツジさんからことの次第を聞いた。
「ぼっちゃまは、大学を卒業したあとは大阪の実家の薬問屋《とんや》を継げとご主人様から命ぜられたのです…しかし卒業式の3日前に『就職先が決まった…そのまま岡山で暮らす…大学の時に出会ったカノジョと婚約をした…薬問屋《とんや》はつがん…』とわやくちゃ(むちゃくちゃ)ばかりを言うた…」
「あの~、おたくのお屋敷には、他にもごきょうだいさまはいますか?」
アタシの問いに対して、シツジさんはけわしい表情で答えた。
「きょうだいはいるけど…上の3人の兄は…薬問屋《とんや》を継がん言うてまんねん…一番上の兄は、投資関係《トウシ》のお仕事でシンガポールに生活拠点をかまえている…二番目の兄は、防衛大学卒業後、幹部自衛官になった…三番目の兄は、道楽三昧《ドーラク》が原因でご主人様からカンドーされた…ほんで(それで)ぼっちゃまが跡継ぎとなりました。」
「お姉さんか妹さんはいらっしゃいますか?」
「女の子のきょうだいはいまへん…」
「いないのですか…わかりました…それともうひとつおうかがいしたいことがあります…おたくのお坊っちゃまの女性問題についてお聞きしたいのですが…」
「お坊っちゃまは、女性問題《おんながらみのもめごと》をショッチュウくり返していたさかい…この際だから言わしてもらうけど…ぼっちゃまを問屋のあと取りにする話は、きのう白紙に戻しました…なさけないわ…」
シツジさんは、アタシの前で涙をポロポロとこぼして泣いていた。
アタシは、赤茶色のバッグを持って三木町池戸《みきちょういけのべ》にある医大病院へ行った。
8月10日の夜、まんのう公園の近くの雑木林でカップルが襲撃された事件で、ボロボロに傷ついた女子大生が入院していたので、お見舞いに来た。
病院の敷地内の木々から、つくつくぼうしがひっきりなしに鳴いてた。
アタシは、病院の総合受け付けで女子大生が入院をしている部屋を聞いた。
しかし、面会謝絶《だれともあいたくない》状態なのでダメだと受付の人から言われた。
女子大生《カノジョ》は、1日中ぼんやりとした表情で窓の風景を見つめていた…
どうして…
男たちは…
カノジョを…
立ち直れなくなるまで…
ボロボロに傷つけたのよ…
許さない!!
その日の午後2時過ぎであった。
アタシは、まんのう公園の近くの雑木林の入り口にやって来た。
この時、60代後半のシツジの男性が大きめの花束と和菓子をお供えして、静かに手を合わせていた。
アタシは、シツジの男性に声をかけた。
「あの…すみません…」
「何でおますか?」
「8月10日に発生した殺人事件で亡くなられた男性にお供えをしていたのですか?」
「そうでおます…うちの屋敷のお坊っちゃまが亡くなったのです。」
「お屋敷…あなたは、シツジさん?」
「へえ…そうでおます…おたくはどちらさまでおますか?」
「アタシは、亡くなった女子大生のコと一緒にバイトしていた友人です…あなたは…大阪からお越しになられたのですか?」
「そうでおます…ここで立ち話もなんやさかいに、公園へ行きまひょか?」
アタシは、シツジさんと一緒にまんのう公園の展望台へ一緒に行った。
ところ変わって、まんのう公園の展望台にて…
アタシは、シツジさんからことの次第を聞いた。
「ぼっちゃまは、大学を卒業したあとは大阪の実家の薬問屋《とんや》を継げとご主人様から命ぜられたのです…しかし卒業式の3日前に『就職先が決まった…そのまま岡山で暮らす…大学の時に出会ったカノジョと婚約をした…薬問屋《とんや》はつがん…』とわやくちゃ(むちゃくちゃ)ばかりを言うた…」
「あの~、おたくのお屋敷には、他にもごきょうだいさまはいますか?」
アタシの問いに対して、シツジさんはけわしい表情で答えた。
「きょうだいはいるけど…上の3人の兄は…薬問屋《とんや》を継がん言うてまんねん…一番上の兄は、投資関係《トウシ》のお仕事でシンガポールに生活拠点をかまえている…二番目の兄は、防衛大学卒業後、幹部自衛官になった…三番目の兄は、道楽三昧《ドーラク》が原因でご主人様からカンドーされた…ほんで(それで)ぼっちゃまが跡継ぎとなりました。」
「お姉さんか妹さんはいらっしゃいますか?」
「女の子のきょうだいはいまへん…」
「いないのですか…わかりました…それともうひとつおうかがいしたいことがあります…おたくのお坊っちゃまの女性問題についてお聞きしたいのですが…」
「お坊っちゃまは、女性問題《おんながらみのもめごと》をショッチュウくり返していたさかい…この際だから言わしてもらうけど…ぼっちゃまを問屋のあと取りにする話は、きのう白紙に戻しました…なさけないわ…」
シツジさんは、アタシの前で涙をポロポロとこぼして泣いていた。