【一気読み改訂版】とし子の悲劇
【第59話】
オレンジタウンで暮らしていた時のダンナと離婚したアタシは、高松市内のデリヘル店とファッションヘルス店をかけもちで働いておカネを稼いでいた。
2019年3月30日に再婚保留期間が明ける…
その頃を見計《みはか》らって、高松を出たあとは大阪で暮らしている友人の家に行くつもりでいた。
そんな時に、武方《たけかた》さんがアタシの元にまたやって来た。
武方《たけかた》さんは『天国にいるお父さまのために…』と言うて、アタシに対してもう一度再婚しなさいと言うた。
アタシは、再婚以外の形で人生のやり直しをすると訣《き》めたのに、武方さんは勝手にアタシの人生設計をいじくった。
アタシは、6度目のダンナ・章平《しょうへい》さん(55歳・以後ダンナと表記する)とイヤイヤ再婚した。
ダンナの職業は、多度津にある四国化成の工場の現場責任者で、年収は400万円で持ち家がある。
ダンナには、長男のじゅんきくん(20歳・大学生)と長女のあいこちゃん(19歳・短大生)のふたりの連れ子がいた。
ダンナは、ふたりの子供たちに対して『今度こそ本当の新しいお母さんが来てくれたから…家族で仲良く暮らして行こう…とし子さんは(5度目のお母さん)とは違ってとても優しいから大丈夫だよ…』と言うた。
今度は大丈夫だろう…と思いたいけど、そうは思っていない…
なぜならば、ダンナはじゅんきくんに対して『5度目のお母さんは極悪人だったのでつらかったよね…今度のお母さんはやさしい人だから大丈夫だよ…』と過度にやさしい声で言うた。
その後、ダンナは前の奥さまの悪口と前の奥さまの親類縁者たちをボロクソに言いまくった。
だからアタシは、不安になった。
時は流れて…
2019年5月7日の朝方であった。
まんのう町吉野下にあるダンナとアタシとふたりの連れ子が暮らしている大きめの一戸建ての家にて…
ダイニングのテーブルの上には、ツナサンド・コンソメスープ・スクランブルエッグ・グリーンサラダなどが並んでいた。
いつも通りの朝の食卓の風景だが、家族は静かに食事をしていた。
最初の1ヶ月は、家族みんながお話をしていたけど、ここ数日は家族間で目だった会話はなかった。
朝ごはんを食べ終えたじゅんきくんとあいこちゃんは、大学と短大に向かった。
「行ってきまーす。」
「行ってきまーす。」
「気を付けてね。」
じゅんきくんとあいこちゃんが家から出たあと、アタシは、食器の後片付けを始めた。
読みかけの四国新聞をヒザの上に置いたダンナは、アタシに言うた。
「とし子。」
「なあに?」
「オレ、今夜は工場長のお供で接待にいくから…帰りは遅くなる。」
「ごはんは?」
「いい…オレ、そろそろ行く…」
ダンナは、いすの上に置いていた手提げカバンを手にしたあと、工場に出勤した。
5月7日の朝までは何事もなく家族がおだやかに過ごしていた。
しかし、この日の夜を境に家庭内の人間関係が少しずつおかしくなった。
この時から、家庭内の問題がより深刻になった。
2019年3月30日に再婚保留期間が明ける…
その頃を見計《みはか》らって、高松を出たあとは大阪で暮らしている友人の家に行くつもりでいた。
そんな時に、武方《たけかた》さんがアタシの元にまたやって来た。
武方《たけかた》さんは『天国にいるお父さまのために…』と言うて、アタシに対してもう一度再婚しなさいと言うた。
アタシは、再婚以外の形で人生のやり直しをすると訣《き》めたのに、武方さんは勝手にアタシの人生設計をいじくった。
アタシは、6度目のダンナ・章平《しょうへい》さん(55歳・以後ダンナと表記する)とイヤイヤ再婚した。
ダンナの職業は、多度津にある四国化成の工場の現場責任者で、年収は400万円で持ち家がある。
ダンナには、長男のじゅんきくん(20歳・大学生)と長女のあいこちゃん(19歳・短大生)のふたりの連れ子がいた。
ダンナは、ふたりの子供たちに対して『今度こそ本当の新しいお母さんが来てくれたから…家族で仲良く暮らして行こう…とし子さんは(5度目のお母さん)とは違ってとても優しいから大丈夫だよ…』と言うた。
今度は大丈夫だろう…と思いたいけど、そうは思っていない…
なぜならば、ダンナはじゅんきくんに対して『5度目のお母さんは極悪人だったのでつらかったよね…今度のお母さんはやさしい人だから大丈夫だよ…』と過度にやさしい声で言うた。
その後、ダンナは前の奥さまの悪口と前の奥さまの親類縁者たちをボロクソに言いまくった。
だからアタシは、不安になった。
時は流れて…
2019年5月7日の朝方であった。
まんのう町吉野下にあるダンナとアタシとふたりの連れ子が暮らしている大きめの一戸建ての家にて…
ダイニングのテーブルの上には、ツナサンド・コンソメスープ・スクランブルエッグ・グリーンサラダなどが並んでいた。
いつも通りの朝の食卓の風景だが、家族は静かに食事をしていた。
最初の1ヶ月は、家族みんながお話をしていたけど、ここ数日は家族間で目だった会話はなかった。
朝ごはんを食べ終えたじゅんきくんとあいこちゃんは、大学と短大に向かった。
「行ってきまーす。」
「行ってきまーす。」
「気を付けてね。」
じゅんきくんとあいこちゃんが家から出たあと、アタシは、食器の後片付けを始めた。
読みかけの四国新聞をヒザの上に置いたダンナは、アタシに言うた。
「とし子。」
「なあに?」
「オレ、今夜は工場長のお供で接待にいくから…帰りは遅くなる。」
「ごはんは?」
「いい…オレ、そろそろ行く…」
ダンナは、いすの上に置いていた手提げカバンを手にしたあと、工場に出勤した。
5月7日の朝までは何事もなく家族がおだやかに過ごしていた。
しかし、この日の夜を境に家庭内の人間関係が少しずつおかしくなった。
この時から、家庭内の問題がより深刻になった。