【一気読み改訂版】とし子の悲劇

【第61話】

5月7日から8日の深夜にかけて家庭内で発生した怪事件が原因で家庭は崩壊する危機におちいった。

あいつ(ここからダンナのことはあいつと表記する)の頭は、社内旅行でシンガポールへ行くことを楽しみに働いていた。

そんな中で、あいこちゃんがアタシにじゅんきくんと仲良くできないことを何度も繰り返して訴えた。

アタシは『お兄ちゃんは、大学がうまく行かないからイライラしているだけ…』と言うしかなかった。

あいつは、家庭をかえりみなくなったようだ。

アタシのいらだちは、日増しに募るばかりであった。

お願い…

じゅんきくんとあいこちゃんの間で発生した深刻な問題に真正面から向き合ってよ…

仕事仕事と言うて、逃げ回らないでよ!!

それなのに、あいつは逃げてばかりいた…

あいつの無関心が原因で、取り返しのつかない非常事態が発生した。

事件は、5月19日の深夜11時頃に発生した。

ところ変わって、県道197号線のまんのう大橋の下にて…

この日、じゅんきくんは大学の仲間たちと遊びに出かけていた。

深夜11時になっても、帰宅せずにあちらこちらをブラブラしていた。

その結果、恐ろしい事件に巻き込まれた。

事件現場には、じゅんきくんとヤクザの男たち30人がいた。

(ドカッ!!ドカッ!!ドカッ!!)

じゅんきくんは、ヤクザの男たち20人から殴るけるの暴行を受けた。

じゅんきくんがここへ連れて来られる前であったが、じゅんきくんはヤクザの男ふたりともめごとを起こした。

じゅんきくんがヤクザの男ふたりに大ケガを負わせた。

30人の男たちは、大ケガを負ったふたりの男の仲間たちであった。

「ああ!!苦しい…助けてくれ…」

(ゴツーン!!)

ボロボロに傷ついたじゅんきくんは、ももけた腹巻き姿で俳優の佐藤蛾次郎《さとうがじろう》みたいなチリチリの髪型で黒いサングラスの男の前に倒れた。

男の名前は、竹宮豊国《たけみやとよくに》であった。

職業は商人《あきんど》だが、田嶋組《たじま》の事務所に出入りしていた。

竹宮《たけみや》は、ひざの上に置かれていた競馬ブックの出走表にちびた赤えんぴつでマーキングしながら不気味な声でじゅんきくんに言うた。

「おい大学生《クソガキ》…ムダな抵抗はやめて、わび入れた方がええぞ…」

じゅんきくんは、怒った声で言うた。

「ふざけんなよ虫けら!!先にやってきたのはオドレらや!!」

ブチ切れた仲間たちは、ボロボロに傷ついたじゅんきくんに対してよりし烈な怒りを込めてボコボコに殴りつけた。

それから20分後であった。

じゅんきくんは、竹宮《たけみや》がはいていた金具がついたくつで後頭部を思い切りけられた。

じゅんきくんは、意識不明の重体におちいった。

竹宮《たけみや》たちは、それから3分後に現場から立ち去った。

日付が変わって、5月20日の深夜1時過ぎであった。

事件現場に、香川県警《けんけい》のパトカーがたくさん停まっていた。

捜査1課の刑事たち70人前後が、現場検証に取り組んでいた。

事件現場には、物的証拠や容疑者につながる指紋などがなかった。

捜査は、早くも手詰まり状態におちいった。

じゅんきくんは、救急車で丸亀市内の救急病院に搬送された。

病院に到着後、緊急のオペを受ける予定である。

警察署から知らせを受けたアタシとあいこちゃんは、じゅんきくんが運ばれた病院にやって来た。

気持ちが動転したアタシは、工場に電話して、あいつを呼び出してほしいとお願いした。

この時、あいこちゃんが『何でおとーさんに電話するのよ!!』と言うてアタシを怒鳴りつけた。

困り果てたアタシは『お兄ちゃんが死にそうになっていることをおとーさんに知らせるのよ!!』と怒った声で言い返した。

そしたら、あいこちゃんはアタシに対して『アタシは、お兄ちゃんからシツヨウに犯されたのよ!!』と激怒した。

それを聞いたアタシは、顔が真っ青になった。

あいこちゃんからことの次第を聞いたアタシは、大急ぎで自宅ヘ帰った。

ところ変わって、自宅にて…

じゅんきくんの部屋に入ったアタシは、部屋のクローゼットを開けて調べてみた。

そしたら…

ボロボロに汚れているあいこちゃんの衣服やパジャマや下着が大量に入っていた…

それを見たアタシは、ものすごい血相で怒り狂った。

あいこちゃんの衣類は、全部ボロボロに汚れていたか大きく破損していた…

特に、下着類はひどかった。

インナーはズタズタに破れていた…

ブラジャーは、後ろの金具が大きく壊れていた…

他にも、ガムテープやスタンガンなどの凶器も大量に見つかった。

それを見たアタシは、ドカーンと大爆発を起こした。

もうだめ!!

ガマンの限界だわ!!

じゅんきは、あいこちゃんをシツヨウにレイプした…

こうなったら、あいつを殺して、アタシも自爆してやる!!

怒り心頭になったアタシは、握りこぶしをギュウと作ったあとワナワナと震えた。

あいつが帰国したのは、翌日の昼前だった。

大きめのスーツケースを持っていたあいつは、疲れた表情で帰宅した。

「とし子!!今帰ってきたぞ!!」

怒り狂っていたアタシは、あいつに対して『あんたなに考えてるのよ!!』とすごんだあと、あいつの腕を引っ張ってじゅんきの部屋へ連れて行った。

ところ変わって、じゅんきの部屋にて…

「うわっ…何だこれは!?」

恐ろしい光景を見たあいつは、顔が真っ青になった。

アタシは、よりし烈な怒りを込めながらあいつを怒鳴りつけた。

「あんたのせがれが妹を犯したショウコよ!!しかも、アタシとあんたの知らないところでコソコソコソコソコソコソコソコソ…どういうことかしら!?…説明しなさいよ!!」
「信じられない…」
「あんたがどれだけ無関心であったのかがよく分かったわよ!!あんたのせいで、じゅんきはレイプ魔になったのよ!!」
「だまれ!!」

(ピシャッ!!ピシャッ!!)

あいつは、アタシの顔を平手打ちで思い切り叩いた後『もういっぺん言ってみろ!!』と怒鳴りつけた。

アタシは、よりし烈な怒りを込めながらあいつを怒鳴りつけた。

「よくもアタシにいちゃもんつけたわね!!」
「とし子!!」
「そんなに死にたいのであれば、お望み通りにしてあげるわよ!!」
「何だと!?」

ブチキレたあいつとアタシは、ドカバキの大ゲンカを起こした。

ふたりとも、顔に大きな傷を負った。

アタシは、最後にあいつを硬《かた》いものでボコボコに殴りつけた。

アタシにボコボコに殴られたあいつは、ビービービービーと泣いていた。

それでもアタシは、あいつをボコボコに殴りつけた。

それから数時間後であった。

アタシは、着替えとメイク道具を詰め込んだボストンバッグとサイフとスマホが入っている赤茶色のバッグを持って家出した。

あいつは、アタシが家出したあともビービービービービービービービービービービービービービービービー…と泣きまくっていた。

なさけないわね…

50なかばの男がビービービービービービービービー泣いている…

サイアク…

サイアクだわ…
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