【一気読み改訂版】とし子の悲劇
【第99話】
8月21日の朝9時前のことであった。
この日は、予想最高気温が40度近くまで上がると天気予報で伝えられた。
こんなうずれる(うんざりするほど暑い)日に限って、よくないことが起こりそうな気がした。
ところかわって、ダンナが勤務しているセメント製造工場にて…
始業前の朝礼のときに、事業所の社長さんが従業員のみなさまに重大発表があると言うた。
「今日はみなさまに重大発表があるので…よく聞いてください…」
社長さんの表情が、いつもと違って悲しい表情であった。
この時、従業員さんたちの間でより強い不安が広まった。
「みなさまもお聞きの通りかと想いますが…8月分支給分より従業員さんたちのお給料が数千円減ることになりました…当事業所は世界規模の非常事態が発生したことが原因で…経営状況が思わしくない状況におちいりました…そのため、少しでありますが…人員整理を行います…遅くとも9月中旬までに…人員整理の対象になる従業員さんに解雇の予告の書面を出します…私どもは…経営努力を積み重ねてきたが…限界です…すみませんでした…人員整理になった原因を作ったのは、私です…平日ゴルフも、政治家先生との接待も、私の孫の来年のお年玉もみーんながまんします…ですから…許して…」
社長さんは、従業員さんたちの前で泣きながらわびた。
社長さんの話を聞いた従業員さんたちは『バカ経営者!!』『ナマケモノ!!』『死ね!!』『バカジジイ!!』『チホーショー!!』などとばとうした。
その後、一部の従業員さんが社長さんをつかんだあとズボンを脱がすなどの暴挙に出た。
この時、建物の死角に竹宮《たけみや》が隠れていた。
竹宮《たけみや》は、ちびたえんぴつで社長さんと会社の悪口や弱みなどをメモしながら『ヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ…』と嗤《わら》っていた。
この日、あいつはひどい夏風邪をこじらせたので、朝礼の後すぐに帰宅した。
その日の夕方6時頃であった。
アタシは、高松市内のデリヘル店の女のコの待機部屋いた。
白のレースのブラジャー・ショーツ姿のアタシは、鏡の前に座っていた。
アタシは花王ビオレ拭くだけコットンの箱の中から、コットンを一枚取り出したあとメイクを落とした。
あいつの家を飛び出してから1ヶ月が過ぎた。
けれど、アタシの気持ちは今もズタズタに傷ついたままであった。
メイク落としをした後、アタシは大きくため息をつきながら考え事をした。
アタシは…
この先、どうやって生きて行こうか…
アタシの気持ちは、なおも迷い続けた。
その頃であった。
ところ変わって、あいつの家にて…
家の食卓に、あいつとけいぞうさん夫婦の家族の4人が集まって、奥さまの手料理を食べていた。
テーブルの上には、白のごはんとみそしるとひじきときんぴらごぼうとたくあん漬けと青菜のおひたしが置かれていた。
あいつは料理を食べていなかったので、奥さまが心配げな声であいつに言うた。
「おじさま…どうかなされましたか?」
けいぞうさんの奥さまの呼びかけに対して、ダンナは泣きそうな声で答えた。
「ごはんがおいしくない…」
「それじゃあ、1品だけでもいいから、なにかお食べになられたらどうですか?白いごはんにふりかけをかけてあげるから…」
「ふりかけごはんもいらない!!」
「どうして食べないのですか!?食べなかったら病気の回復が遅れますよ!!」
「やかましい!!だまれ!!」
あいつが怒号をあげたので、けいぞうさんの娘さんがビヤーと大声で泣き出した。
けいぞうさんの奥さまは、娘さんをなぐさめるために席を外した。
「ごめんね…ごめんね……よしよし…」
けいぞうさんの奥さまと娘さんが席を外れてから1分後であった。
けいぞうさんは、心配げな声であいつに言うた。
「おじさま…どうかなされたのですか?」
「何でもない!!ちょっとイライラしていただけだ!!」
「だからと言って、何も大声を張り上げることはないと思います…」
「うるさい!!だまれ!!」
「おじさま…」
「今日は、会社からクビだと言われた!!明日から無断欠勤する!!」
「それじゃあ、まさおさんの大学はどうするのですか?」
「やめさせる!!」
「やめさせるって…」
「やめさせると言ったらやめさせる!!…とし子のせいだ!!とし子のせいでオレは会社をクビになった…とし子のせいで、まさおはカノジョにふられたしタンイを落とした!!」
「おじさま!!あんまりですよ!!」
「だまれ!!オドレクソガキ!!オドレは高知大学に進学した時の授業料は誰が出したと思っている!?あればふじおの学資保険を解約した分だと言うことを忘れたのか!?オドレと嫁さんの結婚のお祝いや挙式披露宴の費用も、もとはと言えばふじおの学資保険を解約した分だ!!ふじおの学資保険を解約させて、自分だけ幸せになった…ふじおが高校中退したのは全部オドレのせいだ!!」
「おじさん!!あんまりだよ!!母子家庭でつらいおもいをしているぼくにと援助してくださった時…ぼくはきちんとおじさんにお礼をしたのだよ…妻の出産の時のお祝いのお返しもきちんとしたのですよ…」
「だまれ!!オレに返したのはたった1000円だけじゃないか!!」
「その時は、お給料が減っていたのです…」
「だまれクソガキ!!ドロボー!!ミミズ!!ブイブイ!!明日の朝、この家から出てゆけヤクビョウ神!!オドレのおかあは、ぶどうの葉を食べるブイブイだからふみつぶして殺すぞ!!」
ダンナは、けいぞうさんに対してヤクビョウ神・害虫呼ばわりしたあと、言葉の暴力をヨウシャなくぶつけた。
その後ダンナは、冷蔵庫から500ミリリットル缶のアサヒスーパードライとニッカウヰスキーを取り出して、タンブラーの中に二つをミックスしながら注いだ。
ダンナはとうとう…
自分さえよければいい男になったので…
もう、ダメね。
この日は、予想最高気温が40度近くまで上がると天気予報で伝えられた。
こんなうずれる(うんざりするほど暑い)日に限って、よくないことが起こりそうな気がした。
ところかわって、ダンナが勤務しているセメント製造工場にて…
始業前の朝礼のときに、事業所の社長さんが従業員のみなさまに重大発表があると言うた。
「今日はみなさまに重大発表があるので…よく聞いてください…」
社長さんの表情が、いつもと違って悲しい表情であった。
この時、従業員さんたちの間でより強い不安が広まった。
「みなさまもお聞きの通りかと想いますが…8月分支給分より従業員さんたちのお給料が数千円減ることになりました…当事業所は世界規模の非常事態が発生したことが原因で…経営状況が思わしくない状況におちいりました…そのため、少しでありますが…人員整理を行います…遅くとも9月中旬までに…人員整理の対象になる従業員さんに解雇の予告の書面を出します…私どもは…経営努力を積み重ねてきたが…限界です…すみませんでした…人員整理になった原因を作ったのは、私です…平日ゴルフも、政治家先生との接待も、私の孫の来年のお年玉もみーんながまんします…ですから…許して…」
社長さんは、従業員さんたちの前で泣きながらわびた。
社長さんの話を聞いた従業員さんたちは『バカ経営者!!』『ナマケモノ!!』『死ね!!』『バカジジイ!!』『チホーショー!!』などとばとうした。
その後、一部の従業員さんが社長さんをつかんだあとズボンを脱がすなどの暴挙に出た。
この時、建物の死角に竹宮《たけみや》が隠れていた。
竹宮《たけみや》は、ちびたえんぴつで社長さんと会社の悪口や弱みなどをメモしながら『ヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ…』と嗤《わら》っていた。
この日、あいつはひどい夏風邪をこじらせたので、朝礼の後すぐに帰宅した。
その日の夕方6時頃であった。
アタシは、高松市内のデリヘル店の女のコの待機部屋いた。
白のレースのブラジャー・ショーツ姿のアタシは、鏡の前に座っていた。
アタシは花王ビオレ拭くだけコットンの箱の中から、コットンを一枚取り出したあとメイクを落とした。
あいつの家を飛び出してから1ヶ月が過ぎた。
けれど、アタシの気持ちは今もズタズタに傷ついたままであった。
メイク落としをした後、アタシは大きくため息をつきながら考え事をした。
アタシは…
この先、どうやって生きて行こうか…
アタシの気持ちは、なおも迷い続けた。
その頃であった。
ところ変わって、あいつの家にて…
家の食卓に、あいつとけいぞうさん夫婦の家族の4人が集まって、奥さまの手料理を食べていた。
テーブルの上には、白のごはんとみそしるとひじきときんぴらごぼうとたくあん漬けと青菜のおひたしが置かれていた。
あいつは料理を食べていなかったので、奥さまが心配げな声であいつに言うた。
「おじさま…どうかなされましたか?」
けいぞうさんの奥さまの呼びかけに対して、ダンナは泣きそうな声で答えた。
「ごはんがおいしくない…」
「それじゃあ、1品だけでもいいから、なにかお食べになられたらどうですか?白いごはんにふりかけをかけてあげるから…」
「ふりかけごはんもいらない!!」
「どうして食べないのですか!?食べなかったら病気の回復が遅れますよ!!」
「やかましい!!だまれ!!」
あいつが怒号をあげたので、けいぞうさんの娘さんがビヤーと大声で泣き出した。
けいぞうさんの奥さまは、娘さんをなぐさめるために席を外した。
「ごめんね…ごめんね……よしよし…」
けいぞうさんの奥さまと娘さんが席を外れてから1分後であった。
けいぞうさんは、心配げな声であいつに言うた。
「おじさま…どうかなされたのですか?」
「何でもない!!ちょっとイライラしていただけだ!!」
「だからと言って、何も大声を張り上げることはないと思います…」
「うるさい!!だまれ!!」
「おじさま…」
「今日は、会社からクビだと言われた!!明日から無断欠勤する!!」
「それじゃあ、まさおさんの大学はどうするのですか?」
「やめさせる!!」
「やめさせるって…」
「やめさせると言ったらやめさせる!!…とし子のせいだ!!とし子のせいでオレは会社をクビになった…とし子のせいで、まさおはカノジョにふられたしタンイを落とした!!」
「おじさま!!あんまりですよ!!」
「だまれ!!オドレクソガキ!!オドレは高知大学に進学した時の授業料は誰が出したと思っている!?あればふじおの学資保険を解約した分だと言うことを忘れたのか!?オドレと嫁さんの結婚のお祝いや挙式披露宴の費用も、もとはと言えばふじおの学資保険を解約した分だ!!ふじおの学資保険を解約させて、自分だけ幸せになった…ふじおが高校中退したのは全部オドレのせいだ!!」
「おじさん!!あんまりだよ!!母子家庭でつらいおもいをしているぼくにと援助してくださった時…ぼくはきちんとおじさんにお礼をしたのだよ…妻の出産の時のお祝いのお返しもきちんとしたのですよ…」
「だまれ!!オレに返したのはたった1000円だけじゃないか!!」
「その時は、お給料が減っていたのです…」
「だまれクソガキ!!ドロボー!!ミミズ!!ブイブイ!!明日の朝、この家から出てゆけヤクビョウ神!!オドレのおかあは、ぶどうの葉を食べるブイブイだからふみつぶして殺すぞ!!」
ダンナは、けいぞうさんに対してヤクビョウ神・害虫呼ばわりしたあと、言葉の暴力をヨウシャなくぶつけた。
その後ダンナは、冷蔵庫から500ミリリットル缶のアサヒスーパードライとニッカウヰスキーを取り出して、タンブラーの中に二つをミックスしながら注いだ。
ダンナはとうとう…
自分さえよければいい男になったので…
もう、ダメね。