雪降る夜はあなたに会いたい 【上】
「……狭くて、すみません」
抱き合った後、創介さんの腕の中でぼそぼそと呟いた。
「こういうのもいいな。嫌でも雪野が俺にくっついてくるから」
素肌の胸を頬に感じながら、ただただ照れてしまう。
「二人で暮らす時には、シングルベッドを買おうか」
「そ、そんなこと――」
二人で暮らす――その言葉に、無意識のうちに自分の身体が強張るのに気づく。
「どうした。なんで、そんな顔をする?」
「何でもないです――」
創介さんが上半身を起こし、私を見下ろした。
「雪野、好きだよ」
急にそんなことを口にした真正面にある創介さんの顔を、探るように見つめる。
「雪野は……?」
「え?」
「まだ、雪野からは聞いていない。雪野にも、言って欲しい」
思いもよらない創介さんの言葉に驚き、すぐに返せなかった。
「言ってくれ」
切なそうな、どこか甘えるような。
そんな創介さんの表情を見たのは初めてで、今度は胸がぎゅっと締め付けられた。
「――好きです。ずっと創介さんのことが好きだった」
たまらなくなって、手のひらを創介さんの頬に伸ばす。
「雪野の口から聞きたいって、ずっと思ってた」
その手を取り唇に寄せると、創介さんは見たこともないほどに嬉しそうに笑った。
「ありがとう、雪野」
深く息を吐くように囁くと、私の肩を優しく抱き寄せた。