雪降る夜はあなたに会いたい 【上】
7 対峙【side;創介】
初めて、雪野の口から俺へのはっきりとした想いを聞いた。
『ずっと創介さんのことが好きだった』
あれは、無理やり言わせたとも言える。
でも、そう言ってくれた雪野の目は、身体中が温かくなるような優しい目だった。
言葉がなくても、これまで十分雪野の想いは伝わって来ていたはずなのに。それでも、言葉でも言わせたくなるのだからどうしようもない。
雪野と共にいられる――その事実だけで、胸はこんなにも温かくなる。
これは俺の我儘だ。
おそらくこの先、雪野にはさせなくていい苦労をさせることになるだろう。あの父も周囲の目も、雪野を知りもしない人間は、雪野に厳しい目を向けるに違いない。
それが分かっていても、俺のところに来てほしいと言う。
俺は、本当に傲慢な男だと思う。
だから。俺のすべてをかけて雪野を守りたい。どんな困難も帳消しにできるほどの想いで雪野を幸せにしたい。
それが、俺の決意だ。
この先は、雪野に心からの笑顔でいさせたい。屈託なく笑う雪野の顔が見たい。
目の前に立ちはだかる困難は、てっぺんが見えないほどに高くそびえたつ。でも、それがどれだけ高くても、もう怖くない。
雪野の家を出て、ジャケットからスマホを取り出す。そこには同じ人物からのおびただしいほどの着信履歴があった。
まだ薄暗い空を見上げる。
雪野の誕生日に、一人の男として雪野に向き合うために。絶対に負けられない相手と対峙する。