寝付けない夜、 君の隣
「今日は坂本さんからお話があるようなので
 坂本さん、お願いしまーす。」

私が勤めているのは香水などの化粧用品を作る会社で、今日は案を思いついたためチームリーダーの鈴木くんに話しておいたのだ。



提案をしたあと、ドキドキしながらチームの方たちの反応を伺っていた時、佐久間さんから辛辣な言葉が投げつけられた。

「はっ、却下でしょ」

佐久間さんが言葉を発した瞬間、チームの空気がザワザワと揺らぐ。

「坂本さんの考えることってつまんないのよ
 ねー。毎回おんなじようなことばっか」

そんなことない。反論したくなったけれど、そんなことしたら立場が悪くなるだけ。

「だいたいかかる金額はどうするのよ。
 高すぎるでしょ?」

「そこはパッケージのコストカットをと…」

言ったじゃないですか。そう言おうとしたら思い切り遮られた。

「ダメに決まってるじゃない。」


佐久間さんの一言により、私の提案は保留ということになってしまった。

悔しいけれどもっと良い提案の仕方をしようと燃えていたところに一撃を入れられた。

カツカツカツ、と嫌なヒールの音が聞こえて、私の後ろで止まった。

「舞香ちゃんは頭が悪いわねー。
自分の意見が採用されるなんて思わないでね。私の一言でどんな意見もバツにできるんだから。ンフフッ」

耳元で甘ったるい声をかけられて背筋が粟立つ。

アハハハハッと高い声で笑って私を越して行った。
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