ラストチャンス
自転車に鍵を差し込んで回していると、足音がした。

振り返ると、同じクラスの男子だった。
見慣れた黒い短髪に、灰色のネックウォーマー。いつも思うけど、学ランだけで寒くないのかな。

「あ、お疲れ様…」

いつもと同じように声をかけ、私は自転車を出す。

「お疲れ」

彼から短い返事が返ってくる。

「じゃあ、ね」

「あ、うん」

素っ気ない返事に軽く会釈をし、私は駐輪場を後にした。

やっぱ、好きー…

って思いながら。
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