大切なもの
KAIとSHIDO
「人間は勝手だな…」
「何なにKAI!?また人間見てたの?」
SHIDOが短髪の赤毛をツンツン引っ張りながらKAIの横に並ぶ。
「また死んだの?」
「あぁ…醜いモンだな…」
「でも、若い人間の魂はおいしいよ?」
キョトンとした顔で答えるSHIDOにKAIが微笑んだ。
「あれ?また1人、死んだよ?」
SHIDOの言葉でKAIが下界に目を向けると先程殺された稔の妻が自殺した場面だった。
「自殺だと魂食べられちゃうのにねー。もったいないなぁ〜。」
興味なさそうに呟き、SHIDOは暗闇に消えていった。
「…醜い…醜すぎる…死など何も解決しないのに…」
KAIは自分が今発した言葉に驚き、目を細めて遠くを見つめた。