大切なもの
─────…
乃愛はキオのペースで歩き、少し怯えた顔をしている。
「乃愛、大丈夫か?」
「ん…もぅ見てないよ…」
「アイツ、うちらの事見張ってるのか?」
「…わかんない…」
「まぁ、いい…うちにおいで。」
キオは三階建てのまだ建って間もないアパートに住んでいた。
「キオ…私…」
「入りな。話は中で聞くから。」
「う…うん。」
乃愛はローファーを脱ぎ、キオの部屋へと入った。
今時の高校生の男子の部屋とは思えない位の殺風景だ。
カーテンは黒。
フローリングの床も、黒の絨毯がひかれている。