大切なもの
謙一の場合
────…
謙一は、今しがた乃愛とキオが去って行った教室のドアを見つめていた。
「俺だけ仲間はずれかよ…」
唇を尖らせて呟いた。
「ねぇ…小沢君て篠原乃愛と仲良いの?」
名字を呼ばれ振り替えると謙一の目の前に同じクラスの女子二人が立っていた。
「えっと…」
謙一が小首を傾げて二人を見た。
「あたしは、美幸。隣は加奈子よ!クラスメイトの名前位、覚えなさいよ!」
美幸が眉をひそめって言った。
「で?質問の答えは?」
加奈子は冷静に謙一を見据えた。