大切なもの
下校時刻になり、美幸は加奈子と共に教室を出た。
「佐野さん。」
呼ばれて振り向くと夜王キオ(ヤノウキオ)が居た。
「…何?」
「…佐野さん…下校時は一人?」
「え…?国道沿いからは一人だけど…」
「家に帰れば家族は居るか?」
「両親は共働きだから、遅くならなきゃ帰らないけど…何?それがどうしたの?」
明らかに嫌悪感を顕にする美幸。
「立ち入った事を聞いてごめん。忠告だが…一人でいる時間を作るのはやめてくれ。…それじゃぁ。」
キオは美幸達を追い越し、帰っていった。