大切なもの
暗闇の中、やっと見えるKAIの背中を頼りに歩く謙一。
一度来た事がある魔界。
未知の世界────
何とも言えない空気と重圧…
するとKAIが立ち止まり、右手を挙げた。
音もなく扉と思われる物が開く音がした。
KAIがまた歩き出したので謙一も後に続く。
暫くするとKAIが立ち止まって、謙一に道を譲った。
すると目の前がボンヤリ明るくなり、目の前に白髪の紙をオールバックにし、顎に白い髭を生やしている人物が現れた。
「謙一か…久しく見ないうちに立派に育ったな。」
「…ども…」
謙一は心なく答えた。
「父上。私は下がります。」
KAIが一歩後退する。
「よい。ここに居ろ。」
「話って…?」
謙一がまた魔王に顔を向けた。
「謙一よ…ここに住まわぬか?」
「え…?」
「SHIDOもお前になついておるし、妻も迎えたがっている。」
「いや…しかし…」
「学校とやらには今まで通り行くが良い。アイツの力になってやってくれ。」