急な辞令に納得いかないので人事部長を襲ってみたところ、返り討ちにあった件
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「で、今日は一体何があったの?」

甘い余韻に浸っていると、汗ばんだ私の額に張り付いていた髪を直していた佐藤俊生は気遣わしげに口を開いた。

「あ、えーと。実はですね……」

今日の出来事をかいつまんで話すと、日中の憤りがまた込み上げてくる。

「仕事の場面で、人を可愛い可愛くないとか、若いかどうかで評価するっていうのは残酷ですよね」

思わずポロリと本音が出てしまった。
……しまった。弱音を吐くつもりではなかったのに。
慌てて佐藤俊生の顔を見ると、恐ろしい程に怒りの表情を見せている。
セフレ如きが慰めて欲しいだなんておこがましいってところだろうか。


「あ。いや。すみません。こんなこと言うつもりじゃなかったんですけど……」
「いえ。客先だから手は出せませんが、社内だったら制裁レベルの案件ですよ。」


私を抱き寄せた佐藤俊生は心底悔しそうに呟くと、
「理不尽なことを言われて可哀想に。よくがんばってきたね」と優しく頭を撫でてくれる。

理不尽な対応になんだかんだで傷ついていたのだろうか。
佐藤俊生にそんなことをされた私は、ついうっかり肩を借りて少し泣いてしまうのだった。


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