急な辞令に納得いかないので人事部長を襲ってみたところ、返り討ちにあった件
新設される営業3課が何をするところかは、まだ公に発表になっていない。
と、いうか私が今在席しているのは開発部なんだから、開発から営業に異動って、それ何?左遷?肩叩き的なやつ?
先日の査定は悪くなかったはずなのに、一体どうして?と聞きたいことは山ほどある。

そんな訳で人事部長にアポイントを取り、面談へと挑むことになったのだった。

私と年齢がほんの少ししか違わない筈の、人事部長の佐藤俊生はスパコンと影で囁かれるほど情が無いと噂の冷徹な合理主義者のエリート。
そして眼鏡の似合う長身のイケメン。
こういう場面じゃなかったらその姿、目の保養として間近で堪能したかった……!!

いや、違う。今はそんなこと考えている場合じゃない。

「私は開発部なのにどうして営業に移動なんですか?しかも新設される部署なんて!」 
「社内的に、これから色々な部署を経験することで、より人材のスキルに深みを出して行こうという方針になったんです。大山さんはその第一号として抜擢されたんですよ。」

同じような説明をしなれているのか、人事部長は社交辞令も甚だしい笑みを浮かべ、ツラツラと言い淀みなく説明をし始める。


「……なのでこれは名誉ある栄転なのです。おめでとう。」

ワーイやったね☆栄転だあい!……って、違う!名誉とか栄転とかいらないから!今まで通り、開発部にいさせてくれい!!

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