急な辞令に納得いかないので人事部長を襲ってみたところ、返り討ちにあった件
「各部署の人員の調整と最終的にどこに移動させるのかピックアップなんかはしますけど、一番最初に移動させる為のふるいにかけるのは、各部署の所属長なんですよ。やっぱりなにも内情を知らない人事がいきなり口を出して人員を異動させるっていうのは乱暴ですからね」

まあ、それだけが人事の仕事ではありませんけど、と言いながら申し訳なさそうに人事異動のカラクリを説明する。

どうやら今回の部署新設に伴う一連の人事異動は、ある程度働いてくれそうな人材を各部署からピックアップして配置することで、色々な部署からの声を直ぐに反映させるのを目的としたものだったそうな。

で、そのふるいにかけられたのがまんまと私だったと言うわけで……。

「えぇ?じゃあ私、開発で、いなくてもいい人員扱いされたんですかあ??」

辞令を受けた時のあの直属の上司の申し訳無さそうな顔を思いだす。あの野郎、困った困ったとか言いながら、人を差し出しやがったな!!
怒りに震える私に、まあまあと宥める佐藤俊生。

「部署から出されたとは言いますが、開発からはかなりの抵抗にあいましてね。実は最後まで誰も出したくないと言われてはいたんですよ。」

おや。あの上司、中々骨があるではないか。
少し溜飲を下げた私の隣で更に佐藤俊生の話は続く。

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