振られた僕と雨宿り先で出会った不思議な少女
 揺れに驚き目を覚ます。

 すると少女が心配そうにこちらを見ながら、僕の体を大きく揺らしていた。
 もう隠す気がなくなったのか、頭にはやはり狐の耳が生えていた。


「お、やっと目を覚ましたか。其方酷くうなされておったぞ。……って、またそんなに泣いてどうしたのだ」


 少女に言われ、目元に手を持っていくと確かに泣いているようで液体が手に触れる。


「いえ、なんでもないんです」

「何でもないことなかろう。先程、風呂でも泣いていただろうが。触れないでおいてやろうと思ったが、目の前でそんなに泣かれたら、もう放っておけない。一体何があった。訳を話してもらうぞ」


 今日出会ったばかりの少女に美優とのことを話すのが憚られ体を起こし黙っていると、少女が話し出す。
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