振られた僕と雨宿り先で出会った不思議な少女
「出会ったばかりの我に話したくないのは分かる。だが、何も知らない他人だからこそ話せることもあろう。話すことで少し楽になるかもしれん。どうだ? 話す気にはならないか?」
「でも、僕のことなんて話してもつまらないだろうし」
「別につまらなくてもよい。面白い話が聞きたくて話せと言っている訳ではないのだからな」
少女が本気で僕のことを心配してくれているのだとわかり、途中嗚咽しながら美優とのことを話す。
「そうか。そんなことがあったのか。……そんなに泣くほど悲しむんだから、余程その女のことが好きだったんだな」
「そうなんです。本当に好きだったんです。嘘だったとしても、僕みたいな人に優しくしてくれて、毎日同じ笑顔で話してくれて……。彼女と過ごす時間がすごく幸せで、ずっと一緒にいたいと思ってた。それなのに、あんな風に振られて、僕の何がいけなかったんでしょう……」
嗚咽する僕の背中を少女は優しく撫でてくれる。それでより涙が出てくる。
「それは辛かったな。今は其方の気が済むまで泣け」
そう言って、少女が優しく抱きしめてくる。
それがなんだか嬉しくて、自分よりも年下であろう少女の胸でひたすら泣いた。
こんなにも涙って出るのだなと思うくらい泣いた。
声を出して泣くなんて小学校低学年ぶりなんじゃないだろうか。