振られた僕と雨宿り先で出会った不思議な少女
 美優に騙されていたことにショックを感じているというのに、迷ってしまったことで不安にもなってきて涙が出てくる。

 ここに誰もいなくてよかった。
 こんな姿誰にも見られたくない。
 まあ、こんな森の中にそもそも人なんていないだろうけど。

 その場でうずくまって泣いていると、雨が降ってきた。しかも本降りのようで全身びしょ濡れになる。

 最悪だ。
 あんな酷い振られ方をするし、雨にあたるしで今日はなんて嫌な日なんだろう。

 このままだと風邪をひいてしまうと思い、慌ててどこか雨宿りできる場所はないかと辺りを散策する。

 ただでさえショックで辛いのに、これで風邪をひいて体まで辛くなったらしんどいに決まってる。

 そんなことを思いながら五分程走っていると、石造りの少し古そうな建物が見えた。

 ここで雨宿りさせて貰おうと、インターホンを鳴らそうとするがどこにも見当たらない。
 なので扉をノックするが、何も反応がない。

 もう誰も住んでいないのだろうかと思い、ドアノブを捻ると幸い鍵はかかっていないようで扉が開く。
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