振られた僕と雨宿り先で出会った不思議な少女
 肌に張り付く制服がうっとおしく、脱衣所に入りすぐに服を脱ぐ。

 見ず知らずの僕に何故こんなに優しくしてくれるのだろうかと不思議に思いながら風呂に入る。

 頭と体を洗い流し湯船につかると、温度が丁度良く肩まで浸かる。
 雨で冷えた体が暖まったことで少し落ち着つくと、美優のことを思い出す。

 まさか彼女があんなことを思っていたなんて……。


「つまらない、か……」


 そんなことくらい、言われなくても自分が一番よくわかってる。
 口数が多い方ではないから聞き役になることが多いし、いざ話そうと思っても会話のレパートリーが少なくてすぐに終わる。

 こんな人と一緒にいて楽しいはずがない。
 僕だって、僕みたいな人と仲良くしようなんて思わない。

 それなのに、美優みたいな美人に優しくされて浮かれていたんだ。

 自分が惨めで泣けてくる。
 本当に美優のことが好きだったのに。
 いつから僕のことをつまらないと思っていたんだろうか。

 一度涙が出てくると止まらなくて、嗚咽をあげて泣く。


「おい、大丈夫か?」


 浴室の外から先程の心配そうな少女の声が聞こえる。

 折角風呂を貸してくれたのに、こんな風に泣いているだなんて迷惑だろうと思い、泣き止もうとするが涙が止まらない。


「何故泣いているのかわからんが、あまり長湯して逆上せるといけない。もうそろそろ上がったらどうだ?」

「……あともう少ししたら上がります」


 心配して言ってくれているのはわかるが、泣き顔を見られたくなくて、泣いて震える声で言う。

 「そうか」と言って少女が脱衣所から出ていくのを感じる。
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